2008.09.01
CTOと「技術経営」
ZEROBASE BLOG - チーフ・テクノロジ・オフィサ(CTO)ってチーフ・エンジニアと違うの?
http://zerobase.jp/blog/2008/08/cto_1.html

<結果的に兼務されているからといって、CTOとチーフ・サイエンティストの職務をごっちゃにするのは、ベンチャーにとって必要な職能への理解にとって有害です。誤解を解いておきたい。CTOはCXOという表記から、あくまで経営陣(マネジメント・チーム)の一員であり、彼の職責は「製品開発の成功」「技術開発の成功」ではなく「事業の成功」であるべき。そうではなく技術開発にだけ責任を負うトップエンジニアの職務は「チーフ・サイエンティスト」や「チーフ・エンジニア」であるべきでしょう>。

「CTO(最高技術責任者)」と「チーフ・エンジニア」の違いを軸にして、CTOの役割について述べている。長いエントリで、読むのに骨が折れるが、見事な記述がたくさんあるすばらしいエントリだ。

要旨をまとめると、「CTOは経営陣の1人であり、ビジネスの観点から技術を判断することがその役割」といったところだろう。まったく同感だ。

一般に経営者は技術をわかっていないことが多く、技術者はそれを批判しがちだが、技術者も経営をわかっていないのが一般的なので、経営と技術は乖離しやすい。そのあいだを埋めるのがCTOで、技術をわかった上で、経営の観点から技術を評価・選択するのがその役割になる。つまり、CTOとはまさに「技術経営」を体現する存在だ。

経営の観点から技術を判断するCTOという役割は、「CTO」というポジションがないとしても、誰かが暗黙のうちにやることになる。いまや技術と無縁な会社などほとんど存在せず、技術をどう使うかで、それは大きな武器にもなるし、とんでもないコスト要因にもなる。技術の評価・選択が経営に与える影響は小さくないはずなのに、CTO的な人材がいないと、そこがおろそかになってしまうわけだ。

なお、この石橋さんのエントリは、以下2つのエントリを受けて書かれている。これらもあわせて読むと面白い。

ZEROBASE BLOG - ネットベンチャーに必ず「天才エンジニア」がいる理由
http://zerobase.jp/blog/2008/08/it.html
ZEROBASE BLOG - 良いCTOは金の草鞋を履いてでも探せ
http://zerobase.jp/blog/2008/08/cto.html


関連エントリ:
技術くんと営業さん
http://mojix.org/2008/06/16/tech_and_sales
日本のネットベンチャーが技術革新よりも 「ネット財閥」 をめざす理由
http://mojix.org/2005/10/30/233716