2009.01.19
QtのライセンスがLGPLに Nokiaの「本気」を感じる
LGPL License Option Added to Qt
http://www.qtsoftware.com/about/news/lgpl-license-option-added-to-qt

Nokiaはアプリケーションフレームワーク「Qt(キュート)」の次バージョン4.5(2009年3月リリース予定)より、LGPLライセンスのオプションを加えると発表した。これの意味するところは大きい。

Qt」は、Linuxのデスクトップ環境「KDE」などで採用されているクロスプラットフォームのGUIツールキット/アプリケーションフレームワーク。これまではGPLと商用のデュアルライセンスだったが、このうちGPLがより制限の少ないLGPLになることで、より柔軟な利用が可能になる。

Qt」はもともと、ノルウェーのTrolltech社が開発したもので、Nokiaは2008年6月にTrolltech社を買収し、「Qt Software」に社名変更した。

Qt Software
http://www.qtsoftware.com/
ウィキペディア - Qtソフトウェア
http://ja.wikipedia.org/wiki/Qt%E3%82%BD..

「Qt」をベースにした、携帯機器用の「Qt Extended」(「Qtopia」から改称)というアプリケーションプラットフォームもあり、ザウルスをはじめ多数の携帯機器で採用されている。つまり「Qt」は、PCからケータイまでの広い射程を持ったアプリケーションの基盤技術だと言える。冒頭のリリースを読んでも、ケータイ・組み込みからLinux、Second Lifeまで幅広く使われていて、どの方面でもLGPLが歓迎されているのがわかる。

Nokiaはケータイだけでなく、以前からLinuxをはじめオープンソース技術全般に強い印象だったが、Trolltech買収によってこの「Qt」を獲得し、さらにそこから半年強で今回のライセンス変更発表に至ったわけで、Nokiaの「本気」を感じさせる。ズバリ、ライバルはGoogle、そしてAppleだろう。

日本はケータイに関しては特殊な国なので、Nokiaの存在感はそれほど大きくない印象だが、世界的にはNokiaの強さというのは相当なものだろう。以前、注目すべき5つのIT・ネット企業を「GAMAA(ガマー)」と書いたことがあるが、今回の発表を見て、ここにNokiaが入ってくるのは間違いないだろうと確信した。その5つにNokiaを加えて、

G : Google (グーグル)
A : Apple (アップル)
M : Microsoft (マイクロソフト)
A : Amazon (アマゾン)
N : Nokia (ノキア)
A : Adobe (アドビ)

の「GAMANA(ガマナ)」にしておいたほうがいいかもしれない。当面、Nokiaの動きには注目だ。