2009.03.30
The best is the enemy of the good
英語圏のサイトなどで、「The best is the enemy of the good」という言葉をたまに見かける。

いい言葉だな~と思っていたのだが、出典は知らなかったので、調べてみた。

The Best Is The Enemy Of The Good
http://c2.com/cgi/wiki?TheBestIsTheEnemyOfTheGood

このページによると、ヴォルテールの『哲学辞典』にある言葉で、フランス語の原文は<Le mieux est l'ennemi du bien.>らしい。

日本語では「最善は善の敵」「次善の策で満足せよ」などと訳されるようだが、それだと元のニュアンスとけっこう違ってしまうので、英語のまま理解するのがいいと思う。

ニュアンスとしては、「最高にうまくやろうとすると、まあまあOK、というレベルにも到達できない」という感じだろう。

趣旨としては、「手のとどく果実 (low-hanging fruits)」という表現にも近い。

手のとどく果実 (low-hanging fruits)
http://mojix.org/2005/11/27/183650

<いきなり大きなゴールを目指すのではなく、
すぐに実現できる小さいことをやろう、というときに、
その「すぐにできること」が、「手のとどく果実」と言われる>。

冒頭のWikiページには、「The Best Is The Enemy Of The Good」の趣旨に近いものとして、「Good Enough」というページにリンクがある。

Good Enough
http://c2.com/cgi/wiki?GoodEnough

<A can opener can be good enough. It doesn't need to be a SwissArmyKnife.>
(大意:缶切りは、用を果たせばそれで十分。スイス・アーミーナイフである必要はない)

私はこの種の「まずは目標を小さくすべし」という趣旨の言葉に、とても共感する。それは私自身が、目標が大きすぎたり、意気込みが強すぎて、逆にカラ回りしやすい人間なので、この種の言葉が「刺さる」のだ。

「The best is the enemy of the good」という言葉の真意はおそらく、「low-hanging fruits」と同じく、長期的に大きな目標を目指すこと自体は否定しておらず、「まずは気負いすぎず、小さな目標から行くべし」と言っているんだと思う。

その意味では、「divide and conquer(分割統治)」などと言われる、問題を小さく分けてひとつずつクリアしていく、というアプローチとも重なる。