2009.05.21
「言語技術」が日本を変える
先日立ち読みしていたとき、この本を見かけた。

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書) (新書) 田嶋 幸三 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4334034268

<「そのプレーの意図は?」と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。一方、世界の強国では子どもでさえ自分の考えを明確に説明し、クリエイティブなプレーをしている。
 日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基盤となる論理力と言語力なのだ。
 本書は、公認指導者ライセンスや、エリート養成機関・JFAアカデミー福島のカリキュラムで始まった「ディベート」「言語技術」といった画期的トレーニングの理論とメソッドを紹介する>。

私はサッカーについてはまったく知らないのだが、サッカーでも「言語技術」が重要だという指摘は新鮮だと思った。

「自己決定力」「論理力」「言語力」が足りない、というのは日本のサッカーに限らず、日本人そのものの弱みだろう。この日本人の弱みが、日本のサッカーにも出ている、ということなんだと思う。

ウィキペディア - 田嶋幸三
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0..

<田嶋 幸三(たしま こうぞう、1957年11月21日 - )は熊本県出身の元サッカー選手、元サッカー日本代表。現在、日本サッカー協会専務理事。JFAアカデミー福島初代スクールマスター。
 若年層の育成システム構築に深く関わり、著書も多い。兄は熊本県天草郡苓北町町長(1991年-)の田嶋章二>。

<1983年から1986年までの2年半、旧西ドイツのケルン体育大学へと留学しB級コーチライセンスを取得。のち筑波大学大学院(同大学サッカー部コーチ)を経て、1988年に立教大学講師、1990~1995年同大学助教授。また同大学サッカー部コーチ。1996年から筑波大学客員助教授として、S級指導者養成にかかわる>。

サッカー大国ドイツへの留学が契機になって、「方法」というものに自覚的になったように思える。この人の本は面白そうだ。

Amazonのページに、こんな読者レビューがある(高橋りう司さん)。

<日本選手の育成で注意すべき点は、間違うことの恐れをとってあげること。論理を求められると、一つの正解だけを探す。「答えが合っていたか」だけが評価される学校教育(国語や社会科においてすら)の影響がある。
 海外には見たことがないような創造的なプレイをする選手がいるが、創造力は、失敗体験を重ねながら、「なぜ間違ったか?」「その原因はなにか?」を議論しながら育っていく>。

日本では「失敗」「間違い」が責められる傾向が強いので、挑戦や創造に対して臆病になる。「人と違う」ことが良しとされないので、自分の意見を言ったり、個性を発揮することを抑制するようになる。この影響がサッカーにも出ているわけだ。

「言語技術」は日本のサッカーだけでなく、日本そのものを変えるためのカギじゃないだろうか。