2010.07.19
Freebaseを運営するセマンティック・ウェブの会社MetawebをGoogleが買収
Freebaseで知られるセマンティック・ウェブの会社、MetawebをGoogleが買収したとのこと。

The Freebase Blog - Metaweb joins Google (July 16th, 2010)
http://blog.freebase.com/2010/07/16/metaweb-joins-google/

The Official Google Blog - Deeper understanding with Metaweb (7/16/2010 10:38:00 AM)
http://googleblog.blogspot.com/2010/07/deeper-understanding-with-metaweb.html

Freebaseは、人名や会社名、地名、映画や小説など、あらゆるトピックの意味関係を保持するオープンなデータベースサービス。あらゆるトピックを保持し、誰でも編集に参加できる点でウィキペディアに似ているが、項目の意味関係を保持しており、いわゆる「オントロジー(Ontology)」になっているところがウィキペディアと異なる。

Googleは上の公式ブログで、今後もFreebaseを継続し、さらに発展させると述べている。Googleは検索をはじめとする自社のサービスにも、このFreebaseのオントロジー・データと技術を活用するものと見られる。

Freebaseを運営するMetawebは、セマンティック・ウェブに強い優秀な技術者を多数擁する会社のようで、『Programming Collective Intelligence』(日本語訳『集合知プログラミング』)の著者として知られるToby Segaranや、『Programming Semantic Web』(日本語訳『セマンティックWeb プログラミング』)をSegaranと共著したColin EvansJamie Taylorなども、みなMetawebのエンジニアである。

Freebaseというセマンティックなデータベースにしても、Metawebの優秀なエンジニアにしても、いかにもGoogleが欲しがりそうな要素が満載で、この買収は「まあ、そうだろうなあ」という感じがする。もちろん、Googleにもセマンティック・ウェブやAI(人工知能)の専門家がすでに山ほどいるだろうが、それでも買収したいと思うくらいFreebaseには将来性があり、かつMetawebチームが優秀だということなのだろう。

FreebaseのバックにGoogleがつくことで、Freebaseやセマンティック・ウェブ技術の発展も加速するだろうし、Googleもセマンティック技術によって自社のサービスをさらに強化してくるだろう。

なお、Metawebのエンジニアが書いた『Programming Semantic Web』(日本語訳『セマンティックWeb プログラミング』)は素晴らしい本で、Freebaseで本当に使っていると思われる方法なども、実際に動くPythonのコードでわかりやすく解説している。『Programming Collective Intelligence』(日本語訳『集合知プログラミング』)と同じく、わかりやすく実践的で、かつ本質的でもありムダがないという、なかなか得がたいクオリティの本だ。Pythonで書かれたサンプルコードも、わかりやすくて、かつほどほどに実践的なので、Pythonの面白い教材としてもいいと思う。


関連エントリ:
GoogleがYouTubeを約2000億円で買収
http://mojix.org/2006/10/10/082711
Googleに入ったPython作者、Guidoからの報告
http://mojix.org/2006/01/12/003705
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http://mojix.org/2004/04/20/192724