2010.07.24
ゆうパック遅配で全5千万世帯に「おわび行脚」、ついでに地デジチェック
asahi.com - 配達員6万人、一斉におわび行脚 ゆうパック遅配(2010年7月22日3時0分)
http://www.asahi.com/business/update/0722/TKY201007210612.html

<日本郵政グループの郵便事業会社(JP日本郵便)の宅配便事業「ゆうパック」が大規模な遅配を出した問題で、同社の郵便配達員約6万人が21日から、国内の全5千万世帯を対象に「おわび行脚」を始めた。これとは別に配達員はこの日から、地上デジタル放送の周知活動も始め、おわびの言葉とともに「地デジ対応はお済みですか」と声をかけるという>。

<「この度のゆうパックの遅れにつきましては、お客さまに大変ご迷惑をおかけしました。今後ともお客さまの信頼回復に向け、社を挙げて取り組んでまいります」。配達員は、おわびの言葉を記したはがき大のチラシを全戸に配る。在宅している場合には、直接声をかけて謝罪する。集配拠点の混乱が落ち着き、15日に鍋倉真一社長がサービスの正常化を宣言したのを受けて始めることにした>。

<一方、総務省は20日、郵便物の配達に合わせ、地デジへの対応ができているか、配達員に声かけ運動をしてもらうと発表。地デジを受信する準備が済んでいないと分かったら、遅配の謝罪チラシとは別に、総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)の電話番号と「でんわ急げ!デジサポへ」というメッセージが書かれた名刺大のカードを渡す>。

<来年7月24日の地デジ完全移行まであと1年と迫るなか、「地域をくまなく回る郵便配達員は、お年寄りへの周知にまさに打ってつけ」と白羽の矢が立った。だが、遅配のおわびと地デジの声かけが重なることになり、日本郵便と総務省は互いに「タイミングが悪い」と苦笑している>。



まるでブラック企業だ。ダメなのはトップや上層部で、現場の配達員は何も悪くないのに。

さらに、<おわびの言葉とともに「地デジ対応はお済みですか」>とやらせる、っていうんだからすごい。これじゃあ、訪ねられたほうはむしろ怒るのでは。来るだけでも迷惑なのに。これだと、訪問の目的は「おわび」じゃなくて、地デジのチェックのほうなんだろうという印象を与える。配達員は地デジの説明をさせられた上に、地デジ移行の苦情を聞かされそうだ。

日本郵便がやるべきことは、「おわび行脚」じゃなくて、なぜこういうトラブルになったかの原因を明らかにして、その原因を取り除くことだ。

今回の遅配の原因は、現場の人は無理なプランだとわかっていたのに、その現場の反対を押し切って、トップや上層部の甘い見通しでゴリ押ししてしまったことだろう。悪いのは現場じゃなくて、それをゴリ押ししたトップや上層部だ。いくら「おわび」したって、その原因を取り除かない限り、また問題は再発するだろう。

<おわびの言葉とともに「地デジ対応はお済みですか」>とやらせる、というこの話を聞いただけで、いまの日本郵便トップがいかにダメかが伝わってくる。こんな「おわび行脚」をやること自体が、組織に問題があることを公言しているようなもので、よけい不安にさせられる。<日本郵便と総務省は互いに「タイミングが悪い」と苦笑している>って、だったらこんなことをしなければいいのに。コストはすべて税金なのだ。苦笑してる場合か。

「おわび」のために全5千万世帯を訪問するコストもすごいが、訪問される側だって応対する時間や労力がかかるわけで、このコストもすごい。日本郵便のトップや上層部はあいかわらず、このコストもわかっていないのだろう。訪問する側がいくら「おわび」のつもりでも、訪問される側にとっては、チャイムを押されて生活に割り込まれるわけで、訪問販売や宗教の勧誘と変わらない「迷惑」なのだ。

どうしても個別訪問するというなら、「地デジカ」に訪問させてはどうか。これなら許そう。


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