2010.12.08
森精機社長「電線を全部地下に埋めろ」
日経ビジネスオンライン - 森精機社長が直言[2]インフラ整備し海外資本を呼び込め
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20101202/217370/

世界的に知られる日本の工作機械メーカー、森精機の森雅彦社長にインタビューした記事。

<まあ、今、日本で商売してもあまり楽しくないですよね。暗い話や自己批判ばかりで、なんかスカッとしない。根本には独特の体質があるのかもしれません。イジメ的、内向きですよね。
 ビジネスにしても、他人に自慢するためにお金持ちになりたがっているように見えます。そして、楽しくやることが罪悪であるかのような雰囲気もある。ちょっと変わったことをやろうとすると袋叩きに遭う。それがスパイラルになっているのが、背景ではないでしょうか>。

こんなふうに本音をズバズバ語っていて、けっこう面白い。日本の政治については、このように語っている。

<いや、経済対策なんてしていただかなくて結構ですよ。それよりも、日本のインフラをしっかり整えることに力を入れてほしいですね。
 今、やるべきことは何か、それは明確です。お金をたくさん使って為替介入するくらいなら、将来につながる教育にお金をかけるとか、電柱をなくして電線を全部地下に埋めるとか、した方がいい。儲かってない病院をお年寄りが住める施設として再整備するとか、国道は最低、片側何車線で歩道の幅は最低何メートルにするとか、やることはいっぱいありますよ>。

<私が言っているのは、日本が資本を呼び込める国にならなければならないということです。都市計画をもっとしっかりやって、シックで渋い街に作り替える。ただでさえ、世界の中でも税金が高いのに、さらに街も汚くて、では来てくれません。
 だから、まず外国人が思わず来たくなる国にする。そして、もっと土地や建物や会社を買ってもらう。土地の所有権が移るのが問題ならば、シンガポールのように土地をいったん国などが買い上げて使用権だけを売り、それを売買してもらう形に変えてもいいでしょう>。

電柱をなくして電線を全部地下に埋める、というのは私も大賛成だ。

私は政府の「経済対策」には反対で、政府が恣意的にバラマキするようなカネがあるのなら、そのぶん減税すべきだと考えている。

しかし、どっちみちバラマキするのなら、ただ道路に穴を掘って埋めたり、ほとんどクルマが通らない道路を作ったりする無意味なバラマキよりも、それによって日本人の生活が豊かになったり、日本のバリューを上げるような、有意義なことをやったほうがいい。

「電線を全部地下に埋める」というのは、そのような意味で、かなり費用対効果が高いと思う。電柱・電線は日本じゅうにあるので、これは日本全国にわたる事業になり、各地の電気事業者や土建事業者にお金が落ちる。その仕事を請け負える会社がどんな地方にでもあるので、地方にまでお金がちゃんといきわたって、「バラマキ」としての効果も高いだろう。

日本人はすっかり電柱・電線のある光景に慣れてしまっており、いまさらそれをなくせと言う人は少ないだろうが、こういう「景観」というのは、知らず知らずのうちに精神に影響を与えている。もし電柱・電線がなくなったら、日本人の気持ちはいくらかでも明るくなり、そのぶん生活が豊かになると思う。

そして電柱・電線がなくなれば、住んでいる日本人の気持ちが明るくなるだけでなく、森社長も語っている通り、観光地や投資対象としてのバリューも上がるのだ。どっちみちバラマキをするのであれば、戦略的で費用対効果の高いバラマキをしてほしい。