2011.02.02
橘玲「シミュレーション 20XX年ニッポン「財政破綻」」
橘玲 公式サイト - シミュレーション 20XX年ニッポン「財政破綻」(2011年1月27日)
http://www.tachibana-akira.com/2011/01/1800

<20XX年1月10日(金)。午前6時に人形町のワンルームマンションを出て、徒歩で丸の内に向かう。出社前に近くのスターバックスに寄り、3800円のカフェモカを飲むのが私のささやかな贅沢だ。紙の新聞はずいぶん前になくなってしまったので、iPad5を開いてニュースをチェックする>。

<一面トップはあいかわらず「年金全共闘」で、新宿西口に3万人を超える団塊の世代の高齢者が集まり、「生きさせろ」と叫びながら警官隊と衝突した。大阪では公務員の大規模ストでゴミが回収できないため、道頓堀を巨大なドブネズミが走り回っている。スポーツニュースでは、中国の財閥が買収したFC銀座が、バルセロナを戦力外通告されたメッシに移籍のオファーを出したことが大きく報じられていた>。

日本が財政破綻するとどうなるのか、小説ふうにシミュレーションしたもの。橘氏は小説家でもあるので、さすがに読ませる。

例えばこんな箇所がある。

<コーヒーを飲み終えると、東京駅前のハイアールビルにある会社に向かう。金融危機前は丸ビルの愛称で知られていたが、いまや覚えているひとはほとんどいない。それ以外にも、サムソンプラザやタタ・ヴィレッジなど、東京都心の不動産はほとんどが外国企業に買収されてしまった>。

すべてこのような具体的なストーリーになっているので、財政破綻するとどうなるのか、理屈で説明するよりもはるかにイメージしやすい。

これを読むと、財政破綻すると日本がどのくらい「落ちぶれる」のか、実感として伝わってくる。円も弱くなるので、企業や不動産をはじめ、日本の価値あるものはすべて外資に買われていくのだ。


関連エントリ:
橘玲「日本がリバタリアン国家になったら」
http://mojix.org/2011/01/09/tachibana-libertarian
円安誘導論は「日本の値下げ」論である
http://mojix.org/2010/05/11/japan_pricedown
可能な社会を想像する
http://mojix.org/2008/11/22/imagine_possible_society