2011.05.15
東京電力の問題は、役員報酬が高すぎることではない
asahi.com - 東電会長・社長の報酬7200万円 経産相「驚いた」(2011年5月14日13時58分)
http://www.asahi.com/business/update/0514/TKY201105140211.html

<海江田万里経済産業相は14日午前、テレビ朝日の番組で、東京電力の勝俣恒久会長と清水正孝社長の役員報酬について、「驚いたのだが、50%カットして3600万円くらい残る。それはちょっとおかしいということで、もっと努力してくださいと言った」と述べ、追加の削減を促した経緯を明らかにした。
 計算上、会長と社長の報酬は7200万円程度だったことになる。福島第一原発事故を受け、東電は役員報酬の半減などのリストラ策をいったん発表した。しかし、閣僚などから「損害賠償の支払いで政府の支援を受けるのに、カットが不十分だ」との声が相次ぎ、会長、社長らの役員報酬を全額返上することにした。
 東電の役員報酬の平均は2009年度で年約3700万円>。

こういうふうに報酬の高さをあげつらって、読者の嫉妬心につけこむ共産主義的な視点は、ズレている。これでは問題を正しく捉えられない。

ほんとうに純粋な民間会社であれば、報酬をいくら取ろうがまったく問題ないはずだ。もっと役員報酬が高い民間会社はいくらでもあるだろう。問題なのは報酬が高いことではなく、純粋に民間会社とは言えないことだ。

電力会社は地域独占にあぐらをかいており、純粋に民間会社ではない。地域ごとに1社しかない独占企業なので、原発事故を起こそうが、役員が法外な報酬を得ようが、ぬるい経営が電気料金に転嫁されようが、消費者はその電力会社から逃げられない。

政府が電力会社に地域独占を許していることが、すべての害悪の根源である。この独占さえなければ、別に報酬をいくら出そうが、いくら広告にカネをかけようが、まったく構わないはずだ。その電力会社から電気を買うのか、別の電力会社から買うのか、消費者が選べるのであれば、電力会社がどんなにダメな経営をしようと自由である。

ダメな経営をしてはいけないのではなく、ダメな経営をしても退場させられない仕組みが間違っているのだ。


関連エントリ:
池田信夫「原発のリスクよりリターンのほうが大きいなら、原発が市場で選ばれるだろう」
http://mojix.org/2011/04/14/genpatsu-risk-return
原発で作った電気を使っている人は、原発に対して責任を負っているか
http://mojix.org/2011/04/06/genpatsu-denki