2011.06.06
原発事故の責任は、東京電力よりも政府のほうが大きい
「フクシマ」の原発事故に対して、東京電力が大きな責任を負っていることは間違いないだろう。しかし同時に、これまで原発を推進してきた政府も、大きな責任を負っている。電力を地域ごとに1社の独占にする体制も、原発の推進も、電力会社自身では決められないことだ。よって、根本的な責任は政府の側にあると思う。東京電力よりも、政府のほうが責任が大きい。

もし電力事業が数社の競争になっていて、そのうちどこかの電力会社が原発事故を起こしたとすれば、その会社が潰れるだけだ。しかし、現状では1社の独占体制にあるため、政府は東京電力を潰すことができない。1社独占ではないJALでさえ、政府は潰すことができなかったのだから、東京電力を潰せるはずがない。

今回の事故で、東京電力に責任があることは間違いない。しかし、「とにかく東京電力がワルモノだ」という見方にばかり偏ると、日本で原発が推進されてきた「構造」を見逃してしまうだろう。この「構造」こそが「真犯人」なのだ。

とりあえず「ワルモノ」を仕立て上げて、「ワルモノ」をやっつけることで問題が解決したと見なす、というのが日本にはよくある。しかしこれでは、問題を生み出した根本的な「構造」が解消されないので、また問題が起きてしまうのだ。

問題を生み出すのは「ワルモノ」ではなく、より根本的な「構造」である。「ワルモノ」は原因ではなく、「構造」の結果にすぎない。


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