歌を歌うことが好きな人でも、強制的に歌を歌わされるのでは、まったく楽しくない。

プログラミングが好きな人でも、強制的にプログラミングをやらされるのでは、まったく楽しくない。

歌を歌うとか、プログラミングするといった行為の内容が同じでも、それを自分がやりたくて自発的にやるのと、強制的にやらされるのでは、まったく異なる。

自分がほんらい好きなことですら、それを強制されたのでは楽しくないのだ。

困っている人がいるとき、それを助けてあげたいという気持ちがわきおこるのは、人間として自然な感情だろう。

しかし、「この人を助けなさい」「この人を助けるために、お金を出しなさい」と命令され、それを強制されたとしたら、助けてあげたいという自然な気持ちはわいてこない。

誰かを助けるには、自分が時間やお金を出して、コストを負担する必要がある。そうだとしても、人助けをしたいという気持ちが人間にはある。しかし、そのコストを負担することを強制されたとすれば、その気持ちもしぼんでしまう。

好きなことをやるにしても、コストを負担するにしても、人間は「自分で選びたい」のだ。この「自分で選ぶ」ことにこそ、満足感というものの基盤がある。