2011.07.31
本を捨てる効用
私はよく本を買う。しかし買うばかりでは、部屋が本だらけになってしまう(実際、そうなっているのだが‥)。よって、ときどき本を処分していく必要がある。

「この本は捨てよう」と決断するには、ちょっと気合がいる。読もうと思って買った本だから、読んでいなかったり、読みかけのまま捨てるのは、やはり惜しい。しかし、本という物体を保有しつづけることには、コストがかかる(主に占有空間のコスト)。本を保有しているかぎり、そのコストはずっとかかりつづける。だから、あまり活用できていない本は、その未練を断ち切って、「損切り」しなければならない。

しかし、本を捨てる効用は、保有コストを減らせるというだけではない。

- 自分にとって必要なもの、興味あるものの「棚卸し」ができる
- それに優先順位をつけることを強いられる

といった効果もある。

自分が何に興味を持っているのか、その興味の分布が、持っている本の顔ぶれに反映されている。本はいわば、興味の「写像」なのだ。その本に向き合いながら、捨てる本を選んでいく。これはちょうど、自分のさまざまな興味に向き合い、「棚卸し」しながら、自分はこれからどの方向に進んでいくべきか、興味を絞り込んでいくのに近い。

本を捨てることによって、空間的な保有コストを減らすことができる。これは、個人が持っている「空間」が有限だということに対応している。

いっぽう、「興味を棚卸しして、それに優先順位をつける」という側面は、個人が持っている「時間」が有限だということに対応している。

個人が持っている空間や時間には、限りがある。よって、そこに収まらないものは、いわば「忘却」していく必要がある。この「忘却」によってこそ、自分の空間や時間に「空き」ができて、使いやすくなるのだろう。
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