「平成の大合併」別れたい 熊本・旧泗水町で過半数署名
朝日新聞デジタル - 「平成の大合併」別れたい 熊本・旧泗水町で過半数署名(2012年9月23日19時55分)
http://www.asahi.com/politics/update/0922/SEB201209220002.html
図:菊池市と旧泗水町の位置
<「平成の大合併」をした旧町が再び分離独立しようとする動きが熊本県菊池市で起きている。2005年に当時の菊池市と合併した3町村のうち、旧泗水(しすい)町の住民グループが20日、分離の要望書と住民の半数を超える署名を福村三男市長と市議会議長らに出した>。
<グループは「泗水をよくする会」(松岡一俊会長)。泗水町側が進め、合併協議会で合意したはずの市庁舎建設を白紙にしたことなどに反発。今年2月から集めた署名は6873人分で泗水地区(旧泗水町)の有権者の約57%に及んだ>。
<意見書では、価値観などで受け入れがたい相違点があるとしており、泗水地区を分離し、独立させる議案を12月定例市議会に出し、可決するよう求めた。松岡会長は「努力もせずに白紙とした自治体は今後も信用できない」と話す>。
<地方自治法では、旧町が分離独立するには市議会と県議会の議決がいる。総務省によると、平成の大合併でできた自治体から分離した例はないという>。
これは注目の動きだ。
内情はわからないが、泗水地区(旧泗水町)で有権者の約57%が署名したというから、おそらく過半数の住民が分離独立を望んでいるのだろう。
国や自治体は、その規模が大きくなればなるほど、ひとりひとりの民意が反映されにくくなる(いわゆる「民主主義の赤字」)。いっぽうで、国や自治体の規模が大きいほうが、経済力や発言権、プレゼンス(存在感)などでは有利な面もあるし、重複機能をなくせるなど、スケールメリットもある。
こうしたことを踏まえたうえで、それでも地域住民が分離独立を支持しているのなら、分離独立させてあげるのが「地域主権」だろう。
これと似た話で、旧・大宮市の分離独立運動について、以前書いたことがある。
さいたま市市議会議員・吉田一郎氏による「やっぱり大宮市民の会」「大宮市亡命市役所」
http://mojix.org/2010/02/25/yoshida_oomiya
<さいたま市議会で、「大宮市の分離独立は可能か」「可能ならばどういう手続きになるか」を吉田氏が質問したものだ。市議会でこんなブッ飛んだ質問が出ることはおそらく異例だろう。独立の法的な手順について、きちんと答弁もされている。市議会のマジメなやりとりなのに、内容がブッ飛んでいるので、どこか現実離れした面白さがある>。
このような分離独立の動きは、おそらく日本各地にあるだろう。その地域に暮らす住民自身が、ほんとうに分離独立を望んでいるのなら、分離独立させてあげるべきだ。
この分離独立の話は、会社で考えるとわかりやすい。一般に大企業のほうが、知名度や待遇、安定性などではメリットが大きいが、1人1人の権限や自由度は小さくなる(これが「民主主義の赤字」にあたる)。いっぽうでベンチャーやフリーランスなどは、知名度や待遇、安定性などでは弱いが、1人1人の権限や自由度は大きくなる。どちらのほうが満足できるか、どちらのほうが自分の力を発揮できるかは、人によって異なるだろう。
独立を望むということは、自由を得るかわりに、責任を引き受けるということだ。それは人でも、自治体でも、国でも、同じである。その覚悟があるのであれば、独立を許さない理由はないだろう。
関連:
ウィキペディア - 泗水町
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%97%E6%B0%B4%E7%94%BA
ウィキペディア - 菊池市
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E6%B1%A0%E5%B8%82
関連エントリ:
さいたま市市議会議員・吉田一郎氏による「やっぱり大宮市民の会」「大宮市亡命市役所」
http://mojix.org/2010/02/25/yoshida_oomiya
北海道独立論
http://mojix.org/2010/02/24/hokkaido_dokuritsu
http://www.asahi.com/politics/update/0922/SEB201209220002.html
図:菊池市と旧泗水町の位置
<「平成の大合併」をした旧町が再び分離独立しようとする動きが熊本県菊池市で起きている。2005年に当時の菊池市と合併した3町村のうち、旧泗水(しすい)町の住民グループが20日、分離の要望書と住民の半数を超える署名を福村三男市長と市議会議長らに出した>。
<グループは「泗水をよくする会」(松岡一俊会長)。泗水町側が進め、合併協議会で合意したはずの市庁舎建設を白紙にしたことなどに反発。今年2月から集めた署名は6873人分で泗水地区(旧泗水町)の有権者の約57%に及んだ>。
<意見書では、価値観などで受け入れがたい相違点があるとしており、泗水地区を分離し、独立させる議案を12月定例市議会に出し、可決するよう求めた。松岡会長は「努力もせずに白紙とした自治体は今後も信用できない」と話す>。
<地方自治法では、旧町が分離独立するには市議会と県議会の議決がいる。総務省によると、平成の大合併でできた自治体から分離した例はないという>。
これは注目の動きだ。
内情はわからないが、泗水地区(旧泗水町)で有権者の約57%が署名したというから、おそらく過半数の住民が分離独立を望んでいるのだろう。
国や自治体は、その規模が大きくなればなるほど、ひとりひとりの民意が反映されにくくなる(いわゆる「民主主義の赤字」)。いっぽうで、国や自治体の規模が大きいほうが、経済力や発言権、プレゼンス(存在感)などでは有利な面もあるし、重複機能をなくせるなど、スケールメリットもある。
こうしたことを踏まえたうえで、それでも地域住民が分離独立を支持しているのなら、分離独立させてあげるのが「地域主権」だろう。
これと似た話で、旧・大宮市の分離独立運動について、以前書いたことがある。
さいたま市市議会議員・吉田一郎氏による「やっぱり大宮市民の会」「大宮市亡命市役所」
http://mojix.org/2010/02/25/yoshida_oomiya
<さいたま市議会で、「大宮市の分離独立は可能か」「可能ならばどういう手続きになるか」を吉田氏が質問したものだ。市議会でこんなブッ飛んだ質問が出ることはおそらく異例だろう。独立の法的な手順について、きちんと答弁もされている。市議会のマジメなやりとりなのに、内容がブッ飛んでいるので、どこか現実離れした面白さがある>。
このような分離独立の動きは、おそらく日本各地にあるだろう。その地域に暮らす住民自身が、ほんとうに分離独立を望んでいるのなら、分離独立させてあげるべきだ。
この分離独立の話は、会社で考えるとわかりやすい。一般に大企業のほうが、知名度や待遇、安定性などではメリットが大きいが、1人1人の権限や自由度は小さくなる(これが「民主主義の赤字」にあたる)。いっぽうでベンチャーやフリーランスなどは、知名度や待遇、安定性などでは弱いが、1人1人の権限や自由度は大きくなる。どちらのほうが満足できるか、どちらのほうが自分の力を発揮できるかは、人によって異なるだろう。
独立を望むということは、自由を得るかわりに、責任を引き受けるということだ。それは人でも、自治体でも、国でも、同じである。その覚悟があるのであれば、独立を許さない理由はないだろう。
関連:
ウィキペディア - 泗水町
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%97%E6%B0%B4%E7%94%BA
ウィキペディア - 菊池市
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E6%B1%A0%E5%B8%82
関連エントリ:
さいたま市市議会議員・吉田一郎氏による「やっぱり大宮市民の会」「大宮市亡命市役所」
http://mojix.org/2010/02/25/yoshida_oomiya
北海道独立論
http://mojix.org/2010/02/24/hokkaido_dokuritsu