クリス・アンダーソンが『WIRED』編集長を辞任 自身で設立したラジコン飛行機製作会社「3D Robotics」のCEOへ
WIRED.jp - クリス・アンダーソン、WIRED編集長を辞任
http://wired.jp/2012/11/06/wired-editor-in-chief-chris-anderson-steps-down/
<『WIRED』US版の編集長を12年近く続けたクリス・アンダーソンが、自分の会社により力を割くために同誌を去ることになった>。
<アンダーソンは大学で物理学を学んだ後、メディアの世界に転じた。『WIRED』の編集長を務めながら、デジタル「ビット」経済に関するベストセラー書籍(『ロングテール』と『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』)でメディア界に名前を刻み、最近では、もっと物質的な世界(『MAKERS』)に書籍のテーマが移っていた>。
<アンダーソンは11月2日(米国時間)、書籍だけではなく現実世界でも、ビットを言葉やアイデアにする仕事から、3D Robotics社の最高経営責任者(CEO)へ転身することを発表した。3D Robotics社は、2009年に同氏が共同で設立したラジコン飛行機制作の会社だ>。
<「今回の決定はわたしにとって、起業家としての夢を追求するためのものだ」とアンダーソン氏は声明で述べている。「デジタル革命に影響を与え、それを記録するというWIREDのミッションはさらに強力になり、拡大と進化を続けると確信している」>
雑誌『WIRED』編集長として、またベストセラーになった『ロングテール』や『フリー』などの著作で知られるクリス・アンダーソンが、『WIRED』編集長を辞任するとのこと。今後は、自身で設立したラジコン飛行機製作の会社「3D Robotics」のCEOになるらしい。
いまちょうど、クリス・アンダーソンの新刊『MAKERS』を読んでいるところだったので、このニュースにはそれほど驚かなかった。『MAKERS』は「21世紀の産業革命が始まる」という副題の本で、いま起こりつつあるDIYハードウェア革命、「メイカーズ・ムーヴメント」について紹介する本だ。これを読むと、このムーヴメントのおもしろさが伝わってくるだけでなく、著者のクリス・アンダーソン自身もこれに熱中しているようで、そのホットな感じがビシビシ伝わってくるのだ。
クリス・アンダーソンの会社「3D Robotics」は、「DIY Drones」というラジコン飛行機製作のコミュニティサイトを運営し、関連パーツなどを販売するというビジネスをやっているようだ。まさに「趣味が高じて仕事になった」というパターンだろう。
以前、「自動操縦もできるオープンソースの小型無人ヘリコプター「Vicacopter」」(2008年7月)というエントリで、「Vicacopter」というラジコンヘリを紹介したことがある。そこでとりあげた、無人航空機についてのテレビ番組の取材をしていたのが、クリス・アンダーソンだった。
Vimeo - Vicacopter on PBS
http://www.vimeo.com/358337
この番組では、クリス・アンダーソンは単にジャーナリストとして取材しているというよりも、自作ラジコン飛行機のサークルを率いる中心人物として、そのムーヴメントをみずから紹介するような格好になっている。おそらくこの頃にはすでに、この方面では有名な存在だったのだろう。
「DIY Drones」のサイトを見ても、ビジネス臭さがなく、ほんとうに好きな人たちが集まって、ワイワイ盛り上がっている感じがする。日本のグループ(Japan ArduCopter Group)もあるようで、コアなやりとりが活発におこなわれているようだ。
『MAKERS』の最初の章では、クリス・アンダーソンの半生が自伝的に語られており、そのキャリアがこの本までどうつながっているかが書かれている。クリス・アンダーソンは20代の頃、パンクバンドをやり、自宅で録音したり、ジン(ミニコミ)の製作・出版などもしていた。これがDIYの始まりだったようだ。その後、音楽の才能がないことを自覚して物理学に転じ、大学でインターネットに出会う。卒業後、ネイチャー誌、サイエンス誌の記者になって、ここでも誕生したばかりのウェブに出会う。クリス・アンダーソンはこれについて、<最高のタイミングで最高の場所にいた自分を、ありえないほど幸運だと思った>と書いている。その後、エコノミスト誌を経て、ワイアード誌に移り、現在に至るようだ。そして今回、<起業家としての夢を追求する>と語っているように、自分で作った会社「3D Robotics」で、「ものづくり」に転身するわけだ。これまではほぼ一貫して、仕事としては著述・ジャーナリズムの世界にいたクリス・アンダーソンが、趣味の「ものづくり」を仕事にすることにしたのだ。
『MAKERS』という本には、これまでのクリス・アンダーソンのキャリアを集大成するかのように、幅広い知見が注ぎ込まれている。それと同時に、クリス・アンダーソン自身も入れあげている「メイカーズ・ムーヴメント」のおもしろさを伝え、読者を巻き込まずにはおかないような、一種の「熱」を帯びた本になっている。私のようなハードウェア音痴の人間でさえ、この本を読むと、「ものづくり」をやりたくてたまらなくなるのだ。
関連エントリ:
自動操縦もできるオープンソースの小型無人ヘリコプター「Vicacopter」
http://mojix.org/2008/07/03/vicacopter
http://wired.jp/2012/11/06/wired-editor-in-chief-chris-anderson-steps-down/
<『WIRED』US版の編集長を12年近く続けたクリス・アンダーソンが、自分の会社により力を割くために同誌を去ることになった>。
<アンダーソンは大学で物理学を学んだ後、メディアの世界に転じた。『WIRED』の編集長を務めながら、デジタル「ビット」経済に関するベストセラー書籍(『ロングテール』と『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』)でメディア界に名前を刻み、最近では、もっと物質的な世界(『MAKERS』)に書籍のテーマが移っていた>。
<アンダーソンは11月2日(米国時間)、書籍だけではなく現実世界でも、ビットを言葉やアイデアにする仕事から、3D Robotics社の最高経営責任者(CEO)へ転身することを発表した。3D Robotics社は、2009年に同氏が共同で設立したラジコン飛行機制作の会社だ>。
<「今回の決定はわたしにとって、起業家としての夢を追求するためのものだ」とアンダーソン氏は声明で述べている。「デジタル革命に影響を与え、それを記録するというWIREDのミッションはさらに強力になり、拡大と進化を続けると確信している」>
雑誌『WIRED』編集長として、またベストセラーになった『ロングテール』や『フリー』などの著作で知られるクリス・アンダーソンが、『WIRED』編集長を辞任するとのこと。今後は、自身で設立したラジコン飛行機製作の会社「3D Robotics」のCEOになるらしい。
いまちょうど、クリス・アンダーソンの新刊『MAKERS』を読んでいるところだったので、このニュースにはそれほど驚かなかった。『MAKERS』は「21世紀の産業革命が始まる」という副題の本で、いま起こりつつあるDIYハードウェア革命、「メイカーズ・ムーヴメント」について紹介する本だ。これを読むと、このムーヴメントのおもしろさが伝わってくるだけでなく、著者のクリス・アンダーソン自身もこれに熱中しているようで、そのホットな感じがビシビシ伝わってくるのだ。
クリス・アンダーソンの会社「3D Robotics」は、「DIY Drones」というラジコン飛行機製作のコミュニティサイトを運営し、関連パーツなどを販売するというビジネスをやっているようだ。まさに「趣味が高じて仕事になった」というパターンだろう。
以前、「自動操縦もできるオープンソースの小型無人ヘリコプター「Vicacopter」」(2008年7月)というエントリで、「Vicacopter」というラジコンヘリを紹介したことがある。そこでとりあげた、無人航空機についてのテレビ番組の取材をしていたのが、クリス・アンダーソンだった。
Vimeo - Vicacopter on PBS
http://www.vimeo.com/358337
この番組では、クリス・アンダーソンは単にジャーナリストとして取材しているというよりも、自作ラジコン飛行機のサークルを率いる中心人物として、そのムーヴメントをみずから紹介するような格好になっている。おそらくこの頃にはすでに、この方面では有名な存在だったのだろう。
「DIY Drones」のサイトを見ても、ビジネス臭さがなく、ほんとうに好きな人たちが集まって、ワイワイ盛り上がっている感じがする。日本のグループ(Japan ArduCopter Group)もあるようで、コアなやりとりが活発におこなわれているようだ。
『MAKERS』の最初の章では、クリス・アンダーソンの半生が自伝的に語られており、そのキャリアがこの本までどうつながっているかが書かれている。クリス・アンダーソンは20代の頃、パンクバンドをやり、自宅で録音したり、ジン(ミニコミ)の製作・出版などもしていた。これがDIYの始まりだったようだ。その後、音楽の才能がないことを自覚して物理学に転じ、大学でインターネットに出会う。卒業後、ネイチャー誌、サイエンス誌の記者になって、ここでも誕生したばかりのウェブに出会う。クリス・アンダーソンはこれについて、<最高のタイミングで最高の場所にいた自分を、ありえないほど幸運だと思った>と書いている。その後、エコノミスト誌を経て、ワイアード誌に移り、現在に至るようだ。そして今回、<起業家としての夢を追求する>と語っているように、自分で作った会社「3D Robotics」で、「ものづくり」に転身するわけだ。これまではほぼ一貫して、仕事としては著述・ジャーナリズムの世界にいたクリス・アンダーソンが、趣味の「ものづくり」を仕事にすることにしたのだ。
『MAKERS』という本には、これまでのクリス・アンダーソンのキャリアを集大成するかのように、幅広い知見が注ぎ込まれている。それと同時に、クリス・アンダーソン自身も入れあげている「メイカーズ・ムーヴメント」のおもしろさを伝え、読者を巻き込まずにはおかないような、一種の「熱」を帯びた本になっている。私のようなハードウェア音痴の人間でさえ、この本を読むと、「ものづくり」をやりたくてたまらなくなるのだ。
関連エントリ:
自動操縦もできるオープンソースの小型無人ヘリコプター「Vicacopter」
http://mojix.org/2008/07/03/vicacopter