2012.12.08
サーバに「定休日」があってもいいのでは
電気、電話、水道、ガス、電車などのインフラと同様に、ネットもインフラ化しつつある。たくさんの人や会社、仕組みがそれに依存していて、それが止まってしまうと、社会が混乱する。

いっぽうで、ネットはあたらしいインフラなので、そのインフラを維持することがどのくらい大変か、あまり知られていないように思う。

ネットはさまざまな「サーバ」の上に成立しているが、「サーバ」とは役割の名前であり、その実体は要するにコンピュータである。コンピュータは、電気さえあれば勝手に動くイメージがあり、たしかにそうだとも言えるが、問題はその中に入っている「システム」である。システムは、作るのもたいへんだが、きちんと動かしつづけるのも、それなりにたいへんである。

ネットを支える無数のサーバには、必ずそれを管理している人がいる。重要なサービスは、絶対に落とすことが許されないので、何か異常があったりすると、管理者にメールが飛んだり、携帯が鳴ったりする。警察や消防、病院などでは、何か緊急のことがあれば、いかなるときでも呼び出しがかかる体制になっているものと思う。ITの世界でも、重要なサービスに対しては、このような体制になっているところが少なくないようだ。

インフラでも、電車のように、24時間ぶっ通しで動いてはいないものもある。終電から始発のあいだは電車が動かないので、鉄道会社はこのあいだに、車両や線路を点検したりできる。

ネットを支えるサーバにも、電車のように、サービスしない時間帯や、「定休日」があってもいいような気がする。あらかじめ、サービスを落とす時間帯や日程を告知しておいて、それをWeb APIなどでプログラム的にも取得できるようにしておく。こういう体制になっていれば、その「休み」のあいだに、ソフトウェアをアップデートしたり、サーバやマシンを再起動するなど、サービスの維持に必要なメンテナンスがしやすくなる。現状では、ほとんどの場合、サーバは24時間休みなく動かしつづけることが前提なので、こういうメンテナンスがなかなかできなかったり、できるとしても仕組みが面倒になる。

サービス自体を落とさないまでも、昨日書いた静的サイト生成などを使って、見ること(読むこと)だけはできる、というモードに切り替えるだけでもいい。サーバやシステムを扱っている人ならわかると思うが、これだけでも、メンテナンスはだいぶやりやすくなる。

インフラとしての重要性が増せば増すほど、メンテナンスも重要になる。サーバやシステムの背後には、つねにそれを支える人間がいることも考えれば、24時間ぶっ通しで動かす、という以外の方法がもっと考えられてもいいのではないだろうか。きわめて重要なサービスはやはり止められないだろうが、サービスの重要度に応じて、24時間は動かさない、という選択肢がもっと出てきてもいいように思う。


関連エントリ:
静的サイト生成という「古くて新しい手法」の復活
http://mojix.org/2012/12/07/static-site-generation