2013.01.28
何をやりたいかよりも、何をやりたくないかのほうが、キャリアを左右するかもしれない
仕事やキャリアのアドバイスでは、自分のやりたいこと、好きなことをやれ、というふうにしばしば言われる。これは逆にいえば、自分がやりたくないこと、嫌いなことも、仕事やキャリアの選択では重要だということを意味している。

むしろ、何をやりたいか、何が好きかよりも、何をやりたくないか、何が嫌いかのほうが、その人の仕事やキャリアを強く左右するかもしれない。

例えば私の場合、ITが仕事なので、プログラミングはもちろん好きである。しかし、ビジネスや営業も私はわりと好きだ。私はお客さんと話すのが好きで、仕事の打ち合わせであっても、ほとんどいつもおもしろいと感じる。

いっぽう、大きな会社によくあるような、ドロドロした社内政治や人間関係、バカな上司、不条理なルール、意思決定の遅さなどが、私は嫌いである。

私はこういう好み・考え方を持っているので、大きな会社に属するよりも、独立して、自分でビジネスをやるほうが向いている。そのほうが、自分がやりたいこと、好きなことができると同時に、自分がやりたくないこと、嫌いなことを減らせるからだ。

しかし、好みや考え方が私とは反対の人も、少なからずいると思う。例えばITであれば、プログラミングや技術の話は好きだが、ビジネスや営業は苦手で、できればかかわりたくない、という人は珍しくない。むしろそれが多数派だろう。

社内政治やバカな上司、不条理なルールなども、それが積極的に好きだという人は、おそらくいないだろう。しかし、あるていどは妥協できるというくらいの人なら、少なからずいるだろう。私はこういうものには1秒も耐えられないので、まさに苦手というしかない。しかし、普通のビジネスパーソンは、こういうことが私ほど苦手ではないのだと思う。そうでないと、これだけたくさんの人が、大企業で働いていることの説明がつかない。

人間は、やりたいことを追い求めると同時に、やりたくないことから逃げ出すものだと思う。その人が何をやりたいかよりも、その人が何をやりたくないかのほうが、その人のキャリアを左右するということは、十分ありえる。


関連エントリ:
「売ること」は「説得すること」 技術者のほうが営業に強みを持っている
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