2013.06.13
広い視野、狭い視野
「広い視野を持て」などと、よく言われる。視野は広いほうがいい、とふつう思われている。いっぽう、「視野が狭い」というのはマイナスの評価である。

しかし、これは正しいのだろうか。

視野を広くすると、ひとつひとつの分野に対する理解は、浅くなるだろう。むしろ、視野が狭いほうが、ひとつの分野を深く理解できる。

私の考えでは、最初はむしろ、意識的に視野を狭くして、深く理解している得意分野をつくったほうがいいと思う。

ひとつでも、深く理解している得意分野を持っていれば、他の分野を見たときに、その深さが類推できる。

逆に、ひとつも得意分野を持っていないと、どの分野を見ても、浅い理解しかできない。これでは、いくら視野を広くしても、皮相的な見方しかできない。

もちろん、視野は広いほうがいいのだが、人生は有限である。有限の人生で、何かを達成しようと思えば、あるていど焦点をしぼるしかない。

かつての私は、このことをぜんぜんわかっていなかった。人生は無限につづくかのように、いろいろなことに手を出しては、浅い理解で終わっていた。いまの私は、むしろ意識的に、視野を狭くするようにしている。

視野が広いと、話題も多いし、人気者になれるかもしれない。しかし、世の中でほんとうに求められるのは、特定の分野に深く通じた専門家である。何か価値あるものを生み出すのも、ただ視野が広い人や話題が多い人ではなく、むしろ視野の狭い、特定の分野に偏執的なまでに入れ込んでいる人だろう。

特定の分野に深く通じた専門家であり、かつ視野が広くて、話題も多い、というふうになれれば、それがベストだろう。しかし、そうなるためには、まずは特定の分野に通じた専門家になるのが先であって、視野を広くするのが先ではないと思う。