2004.02.16
「Javaコードをオープンに」--E・レイモンド、サンに有言実行を求める
CNET Japan : 「Javaコードをオープンに」--E・レイモンド、サンに有言実行を求める
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20064324,00.htm

この記事の中で引かれているエリック・レイモンドの発言。

Sunは引き続きJavaコードを厳格にコントロールしていくと言い張っているが、それがオープンソースコミュニティでの同言語の普及を妨げ、この分野(そしておそらくは将来も)をPythonやPerlなどのスクリプト言語のライバルに譲り渡すことで、Sunの長期的な利害を損ねてきた

「PythonやPerlなどのスクリプト言語」という言い方は、初めて見た気がする。Pythonの普及がまだいまひとつの日本では、このフレーズはちょっと驚くべきものだろう。

これに対しCurrent AnalysisのShawn Willetという人は、<Javaは核心の部分ではお金を支払って手にするものだ>とした上で、次のように語る。

PythonがJavaを乗っ取るとは思えない。やはり覚えておくべきなのはJava言語のほうだ。Javaには訓練を受けるためのインフラがある。やがて悪くない報酬の仕事が得られると知っているから、皆Javaを覚えている

なぜJavaを覚えるべきかという理由が、「訓練を受けるためのインフラがある」「悪くない報酬の仕事が得られる」というのは、現実認識としては正しいかもしれないが、なんとも消極的だという気がする。

アイルランドのPropylon社CTO、ショーン・マグラス(彼も「Visionary」の1人だ)はかつて、Jython(JavaによるPythonインタプリタ実装)を評して次のように語った。

Jython, lest you do not know of it, is the most compelling weapon the Java platform has for its survival into the 21st century:-)
jython.orgのトップページに引用されている)

Jythonが「Javaが21世紀に生き残るための武器」だとは、JythonやPythonをあまり知らない人には、不思議な発言に思えるだろう。ショーン・マグラスはそこを見越して、最後にスマイルマークを置いているはずだ。

Pythonなど眼中にないという人は、レイモンドやショーン・マグラスのような「Visionary」がPythonを重視しているということを、心に留めておいてほしい。

Pythonだけでなく、Perl、PHP、Rubyなどのスクリプト言語総体が「Lightweight Languages(軽量言語)」としてあらためて注目され、勢いを増している。普及度は申し分ないがオープンソースではないJavaが、このままでは廃れていくという可能性は、決してありえないことではないと思う。

2004年の現在では、「PythonがJavaを乗っ取るとは思えない」という認識がまだ普通かもしれない。しかしおそらく今後2~3年で、そうも言っていられなくなると予想しておこう。