ASTERIAと「グラフィカル・プログラミング」の地平
「Zope Essentials 1」にゲスト参加してくれた江島さんから、まもなく発売の新刊『ASTERIA実践ガイド』をいただいた。
『ASTERIA実践ガイド』(翔泳社)
東海林賢史・中川智史・江島健太郎 共著
インフォテリア株式会社 監修
ASTERIAは、「グラフィカル・プログラミング」あるいは「ノン・コーディング」の開発実行環境で、機能部品のアイコンをドラッグ&ドロップしたり、線でつないだりしていくだけで「システム開発」ができてしまう、というもの。
「グラフィカル・プログラミング」の実例:ASTERIA Designer
http://www.infoteria.com/jp/product/asteria/designer/index.jsp
できるだけラクをして、開発の生産性を上げ、変更コストを下げる、という基本的なスタンスは、Zopeと似ているところがある。
ただ、比較的開発効率の高いZopeですら、Pythonを使って従来的なプログラミングが必要だ。ASTERIAは、それを「グラフィカル・プログラミング」というパラダイムにまで引き上げようとしている。
ASTERIAは高価な商用ソフトウェアだし、また私も実際に使ったことはないので、安易にオススメすることはできない。しかし江島さんの考え方、スタンスにはつねづね共感できる部分が多く、ASTERIAもその志向するところ、「グラフィカル・プログラミング」という方向性は、まったく正しいと思う。
その意味では、まずは入手しやすい書籍のかたちでASTERIAというソフトウェアの存在とそのアプローチを知ることができるようになったのは、とてもいいと思う(ASTERIA評価版のCD-ROMもついている)。
そしてこの本は、さすが江島健太郎というべきか、並の商用ソフトの解説本とはひと味違う。
冒頭の「刊行に寄せて」では、1984年、それまでコマンドラインが主流だったコンピュータの世界に、アップルがグラフィカル・インターフェイスのマックを持ち込んだことの意味について語られている。ウインドウズが普及し、グラフィカルなOSが当たり前になった現在、しかしシステム開発はいまだに「テキストベース」なのだ、と。
<ASTERIA(アステリア)には、かつてアップルがユーザインターフェースの世界にもたらしたことと同じことを、プログラミング言語の世界においても実現したい、という思いが込められています。グラフィカルで直感的なプログラミング言語を普及させ、プログラムを書くという営みをもっと身近なものにしたいという願いです>。
私は2000年にZopeを発見して以来、かれこれ5年以上、Zopeの良さをたくさんの人に説きつづけてきた。その過程で、「こんな衝撃は、マックに出会って以来だ」と感動の声を漏らした人が、1人や2人ではなかった。
私はWindowsもLinuxも好きだし、必ずしもMac派ではないが、そんなふうにMacが「革新」の代名詞のように語られるのは、よくわかる。そして私は、そんなふうにマックの名を持ち出す人には大抵、共感できるのだ。
とりあえず、立ち読みでもいいので、冒頭の「刊行に寄せて」と、巻末の「おわりに」をぜひ読んでみてほしい。重要なのはASTERIAという製品そのものではなく、これによって「グラフィカル・プログラミング」という新しい地平、新しいパラダイムをもたらすことなのだ、という江島健太郎のメッセージが、きっと伝わると思う。
なお、私がASTERIAのデモを見るのは今回で2回目になる。初めて見た集まりでは、江島さん(インフォテリア)によるASTERIAのデモと、その競合製品であるDataSpiderの小野さん(アプレッソ)によるデモを両方見ることができ、大きな衝撃を受けた。2人は良きライバルであり、また今後の日本のITを牽引していくはずの逸材である。
ASTERIAについては、江島さんが以前自身のブログに書いた以下の一文もぜひ読んでみてほしい(アプレッソへの言及もある)。
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance : サーバにイノベーションのジレンマは起きているか(5)
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/000821.html
『ASTERIA実践ガイド』(翔泳社)
東海林賢史・中川智史・江島健太郎 共著
インフォテリア株式会社 監修
ASTERIAは、「グラフィカル・プログラミング」あるいは「ノン・コーディング」の開発実行環境で、機能部品のアイコンをドラッグ&ドロップしたり、線でつないだりしていくだけで「システム開発」ができてしまう、というもの。
「グラフィカル・プログラミング」の実例:ASTERIA Designer
http://www.infoteria.com/jp/product/asteria/designer/index.jsp
できるだけラクをして、開発の生産性を上げ、変更コストを下げる、という基本的なスタンスは、Zopeと似ているところがある。
ただ、比較的開発効率の高いZopeですら、Pythonを使って従来的なプログラミングが必要だ。ASTERIAは、それを「グラフィカル・プログラミング」というパラダイムにまで引き上げようとしている。
ASTERIAは高価な商用ソフトウェアだし、また私も実際に使ったことはないので、安易にオススメすることはできない。しかし江島さんの考え方、スタンスにはつねづね共感できる部分が多く、ASTERIAもその志向するところ、「グラフィカル・プログラミング」という方向性は、まったく正しいと思う。
その意味では、まずは入手しやすい書籍のかたちでASTERIAというソフトウェアの存在とそのアプローチを知ることができるようになったのは、とてもいいと思う(ASTERIA評価版のCD-ROMもついている)。
そしてこの本は、さすが江島健太郎というべきか、並の商用ソフトの解説本とはひと味違う。
冒頭の「刊行に寄せて」では、1984年、それまでコマンドラインが主流だったコンピュータの世界に、アップルがグラフィカル・インターフェイスのマックを持ち込んだことの意味について語られている。ウインドウズが普及し、グラフィカルなOSが当たり前になった現在、しかしシステム開発はいまだに「テキストベース」なのだ、と。
<ASTERIA(アステリア)には、かつてアップルがユーザインターフェースの世界にもたらしたことと同じことを、プログラミング言語の世界においても実現したい、という思いが込められています。グラフィカルで直感的なプログラミング言語を普及させ、プログラムを書くという営みをもっと身近なものにしたいという願いです>。
私は2000年にZopeを発見して以来、かれこれ5年以上、Zopeの良さをたくさんの人に説きつづけてきた。その過程で、「こんな衝撃は、マックに出会って以来だ」と感動の声を漏らした人が、1人や2人ではなかった。
私はWindowsもLinuxも好きだし、必ずしもMac派ではないが、そんなふうにMacが「革新」の代名詞のように語られるのは、よくわかる。そして私は、そんなふうにマックの名を持ち出す人には大抵、共感できるのだ。
とりあえず、立ち読みでもいいので、冒頭の「刊行に寄せて」と、巻末の「おわりに」をぜひ読んでみてほしい。重要なのはASTERIAという製品そのものではなく、これによって「グラフィカル・プログラミング」という新しい地平、新しいパラダイムをもたらすことなのだ、という江島健太郎のメッセージが、きっと伝わると思う。
なお、私がASTERIAのデモを見るのは今回で2回目になる。初めて見た集まりでは、江島さん(インフォテリア)によるASTERIAのデモと、その競合製品であるDataSpiderの小野さん(アプレッソ)によるデモを両方見ることができ、大きな衝撃を受けた。2人は良きライバルであり、また今後の日本のITを牽引していくはずの逸材である。
ASTERIAについては、江島さんが以前自身のブログに書いた以下の一文もぜひ読んでみてほしい(アプレッソへの言及もある)。
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance : サーバにイノベーションのジレンマは起きているか(5)
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/000821.html