2005.08.11
日本がこれから進むべき方向
総選挙まで、ちょうどあと1か月。

それに関連したネタを書いているブログで、私が読んでナイスだと思ったものを、自分自身のメモも兼ねて、ときどき紹介していこうと思います。

ヒルズ投資銀行日記 : 日本の生きる道ーアジア最大の金融センター
http://andyathome.exblog.jp/1511630

<これから、10年、20年で、金融業を日本の基幹産業の一つにするべきではないだろうか?
世界から見た日本は、トヨタであり、松下であり、ソニーなどが、日本のアイデンティティーとなっている。しかし、家電の世界は既に相当にコモディティ化が進んでいる。日本は冷戦下の体制の中で、世界の工場としての役割を90年代の途中までは担ってきていた。しかし、もうその役割は中国なり東欧なりに引き継がれている。
そして、21世紀は中国と米国が2大スーパーパワーであり、日本は地政学的にもその真ん中に位置する。英国やオランダといった一時は覇権を築いた国は、どう生き残ってきたのか?と考えた時、貿易や金融といった部分がその中核となったように思う>。

日本が強い家電などはもうコモディティ化しており、金融業を日本の基幹産業の一つにすべし、という提言。

日本はとにかく国土が狭く、資源がなくて、食料自給率も低いので、手先かアタマで稼ぐしかない。その点ではたしかに金融は良さそうだが、優秀な人材を世界じゅうから集めているアメリカに勝てるだろうか?

その意味でも、<アジア、世界から優秀な人材を集めて、ある程度の移民をも認めなければ国としては先細りになってしまう>、<日本における学校教育は圧倒的に英語教育、そして、第2外国語として中国語や韓国語を必修化させるようなところに力を注いでいく>、<金融や投資に対する教育を比較的若い時期から実施、世界の中でも、Financial Literacyの高い国を作り上げる>などの必要がある、と提案されている。まったく同感。

Cutting Edge : 国の在り方
http://cedge.exblog.jp/1512592

冒頭で上記のエントリを引いて、<こうした構造改革の方向性は、まさに過去20年間に米国、英国が復活を遂げた道程である>として、ロンドンに在住されている立場から、<日本が英国の経験から学べる教訓>として、以下のものを挙げている。

①国が豊かになればなるほど、製造業に過度に傾斜した輸出立国として生きながらえるのは難しくなる。人件費の高騰や為替レートの上昇によって価格競争力を失うためである。

②輸出産業の競争力の低下は、国力の低下に直結する。高成長を前提とした社会福祉や労使協調が制度疲労を来たすためである。

③伸び悩む製造業に代わって基幹産業となり得るのは、サービス業である。教育や文化といった知的資本が集積されていることが優位に働く他、豊かになった自国内においてこうした産業への需要が飛躍的に高まるためである。

④製造業の競争力維持・向上には効果的な設備投資が不可欠だが、サービス業の競争力向上には法制や教育(専門知識と語学)の充実といったソフト面でのインフラ作りが鍵となる。

⑤高度な社会福祉の財源を維持するには、労働生産性の向上のみならず、一定の労働人口の維持も不可欠である。従って、少子高齢化が進行している場合には、国外からの質の高い労働力の受け入れが極めて有効である。

⑥制度改革には多大な時間(及びその結果としてコスト)を要する。既得権益を死守しようとする抵抗勢力の牙城となる権力基盤(政治的地盤)と財源を崩すことが必要になるためである。

⑦適切なリーダーシップが発揮されれば、それまでにかなり硬直していた社会でも、比較的短期間で大きく変貌を遂げることが出来る。

⑧外国人労働者や移民の受け入れは非常に重いアジェンダである。

以上の8つ。これは<英国の経験から学べる教訓>というだけでなく、まさに日本がいま直面している課題と、今後進むべき方向そのものを示しているように感じる。

以上、とりあえず2つのブログから紹介したが、いずれもすばらしいエントリなので、ぜひ全文を読んでみてほしい。

金融や投資という側面から入りながら、日本という国がこれから進むべき方向を示す大きな見取り図、「ビッグ・ピクチャー」になっている。

郵政民営化や、具体的な数値目標などももちろん大事だが、個々の「指し手」はつねに、いま世界はどうなっており、その中で日本はどの方向へ進むべきなのか、という「大局観」にドライヴされるほかない。

上記のようなビジョンからすれば、教育や外国人受け入れが大きなポイントになってくることが導かれる。構造改革という「リストラ」や福祉なども必要だが、同時にポジティヴな「投資」もおこなっていかないと、先が持たなくなるのだ(ここでの「投資」が「金のバラまき」ではないことは、言うまでもないですね)。

教育(特に語学)と外国人受け入れはいずれも、技術や努力、ましてや金ではどうにもならない、「マインド」の革新ができるかどうか、そこにかかっているように思う。