2008.08.14
マーク・シャトルワース 「デスクトップLinuxでMacを超えよう」
@IT - デスクトップLinuxを巡る7つの話題
http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/200808/12/linux.html

<Ubuntu Linuxの創始者で英カノニカルのマーク・シャトルワース氏が大胆な宣言を行い、オープンソース界にちょっとした波紋を呼んだ。2008年7月22日、米国で開催中だった「O'Reilly Open Source Convention」の講演でシャトルワース氏は、オープンソース開発者を前にして、今後2年程度でLinuxのデスクトップ環境をMacを超える“芸術品”にしようではないかと呼びかけた。eWEEKのダリル・タフト氏が伝えるところによれば、「ただ真似をするだけではなく、アップルを抜き去ることが、われわれにできるだろうか?」と挑発的な問いかけをしたという>。

これは知らなかった!

ここにもあるように、マーク・シャトルワースはUbuntu Linuxの創始者で、南アフリカの若いIT富豪として知られている(末尾の関連エントリ参照)。

マーク・シャトルワースはただの金持ちではなく、完全に技術を知り尽くした「ITエンジェル」だ(その意味では、例えばポール・グレアムなどと似ている)。そのうえ、ただ金を出すのではなく、実際に現場でプロジェクトを推進している。

Ubuntu Linuxはもっとも知られた成功例になったが、分散型バージョン管理のBazaarや、オープンソース・プロジェクト管理のLaunchpadなども、彼の会社Canonicalがやっている。これらの実績を見れば、マーク・シャトルワースが技術力・資金力・プロジェクト推進力を兼ね備えた、文句なしの実力者であることは疑いないだろう。

そして、彼の手がけるものはどれも、技術者視点よりも一般ユーザからの視点を感じるもので、「使いやすい」ことを重視している。つまり、意識的に「使いやすさを開発」しているわけだ。基本的に技術者オンリーのオープンソース・コミュニティにあって、このスタンスは貴重だ。

そのマーク・シャトルワースが、「デスクトップLinuxでMacを超えよう」と言っているのだから、期待せずにはいられない。

私は以前、これとほとんど同じことを書いたことがある。

Fedora Core 1 / いまのLinuxにいちばん必要なのは‥
http://mojix.org/2003/12/07/004931

<これでもし、LinuxのユーザインターフェイスがMacよりもカッコいいくらいになったら、ほんとうにLinuxが勝てる気がする。これはオープンソース全般に言えることだが、いまのLinuxでは(以前よりだいぶマシになったとはいえ)まだどことなく垢抜けない印象がある>。

この5年前に比べれば、UbuntuやFedoraをはじめ、デスクトップLinuxはさらに大きく進化した。それでもまだ、一般ユーザがLinuxに乗り換えられるレベルには達していない。

UI(ユーザインターフェイス)のデザイン、「使いやすさ」のデザインは、純粋に技術的な開発とは異なる。ヒューマンファクターがからむので、「どちらが正しいのか」という意思決定がむずかしく、「好み」の問題にされてしまったりもする。

ここを乗り越えるには、技術もUIも理解している実力者がうまくプロジェクトをリードして、意思決定していく必要がある。マーク・シャトルワースは、まさにそういう人だからこそ、これだけの実績を上げてきているはずだ。

もしデスクトップLinuxがMac並みに優れたUIを持てば、いまMacに流れているような技術者はもちろん、Windowsを使っているようなごく普通のPCユーザさえ、引きつけられることは間違いない。ぜひ、実現してほしいビジョンだ。

関連:
eWeek - Shuttleworth: Make Desktop Linux Better than Apple
http://www.eweek.com/c/a/Linux-..

関連エントリ:
Ubuntu FoundationとMark Shuttleworth
http://mojix.org/2005/07/09/154442
Mark ShuttleworthがSchoolTool, Python, Mozillaについて10万ドルの提案を募集
http://mojix.org/2003/11/27/130255
Mark ShuttleworthがサポートするSchoolTool プロジェクト
http://mojix.org/2003/11/15/225433