2009.01.13
マスコミに対するブログの強み
最近は雇用問題に対する世間の関心が高まり、マスコミの報道も増えているし、ブログでも雇用問題について言及されることが増えてきた。

この問題に関する認識については、日本のブログはかなり前進していて、少なくともマスコミに出てくる議論のレベルをはるかに超えていると思う。

これは雇用問題に限らない話だが、マスコミに対してブログが強いのは、

1) マスコミのタブー・制約がない、個人の声である
2) 意見、立場が多様である
3) さまざまな専門家がいる

といった点だろう。

もともと日本には、いろいろな意見・立場の人がいるし(2)、さまざまな分野の専門家もいるが(3)、マスコミではその人材の多様性に限界がある。

そのうえ、マスコミはスポンサーに支えられているし、多かれ少なかれ政府とのしがらみもある。そうした対外的なしがらみに加えて、その媒体の基本的な「立ち位置」みたいなものもあるので、個人レベルで勝手な意見を出せない。

さらにマスコミの正社員であれば、たいてい高給取りだ。その位置から来るバイアスや、あえてそれを危険にさらすようなことをしないというリスク回避傾向もあるだろう。

こうしたもろもろの制約(1)が、ブログにはほとんどない。多様な意見(2)、さまざまな専門家の見方(3)が、そのまま出てくる。

もちろん、個人の意見であるゆえに偏りもあるわけだが、そういう個人の意見を一定数以上読むことで、バランスを取ることができる。

ネット以前の時代は、「これが正しい考え方ですよ」というのをマスコミがばらまいて、一般人はそれを真に受けてしまいやすかった。継続的に情報を発信している情報源が、ほぼマスコミしかなかったからだ。

いまはブログがあるので、マスコミの見方もすぐに相対化できるし、マスコミからは出てこないような深い知識や「タブー」も知ることができる。

またブログがいいのは、年齢や知識・専門性などに関係なく、率直な意見が飛び交うことだ。どんなに若い人、どんなに素人であっても、発言権がある。これは大事なことだと思う。間違った意見、底の浅い意見であっても、自由に発言できて、他の人がそれを見ることができる。

ブログを読んでいると、この多様な意見にさらされるというプロセスによって、物の見方が「鍛えられていく」。マスコミの意見をただ受け入れるのとは、大きな違いだろう。


関連エントリ:
なぜマスコミがネットに注目しているのか
http://mojix.org/2008/06/17/mass_media_and_net
日本のブログ界にも政治ブームか / ホリエモンと小泉純一郎 / 政治広報戦略も「マス」から「バズ」へ
http://mojix.org/2005/08/10/114907