2009.03.06
「かんぽの宿」問題についての不動産コンサルタント・長谷川高氏の見方
不動産コンサルタントの長谷川高氏が、例の「かんぽの宿」問題について書いている。

不動産投資と金融・ファイナンスブログ - 鹿児島県指宿市と鳥取県岩美町のかんぽの宿事件?の解明
http://d.hatena.ne.jp/digicon/20090306/1236276317

<郵政が民営化される前にバルクで売却された、かんぽの宿(前述の鹿児島県指宿市と鳥取県岩美町のかんぽの宿の)の入札価格が1万円程度の激安?な価格であったこと、加えて後日、約6千万円程度で転売されたことを捉えて「これはオカシイ!!常識では考えられない!!」と叫んでいる鳩山邦夫総務大臣やそれをそのまま報道しているマスコミの方の方が実は全くの事実誤認または意図的な人気取りのための因縁にしか聞こえないのです>。

<誰も何も言わないので、今回は、業界を代表して?僭越ながら私が解説致します>。

ネットの反応などを見ても、「かんぽの宿」がらみの鳩山大臣のパフォーマンス、それに乗っかったマスコミ報道に疑問を感じている人は少なくないようだ。不動産のプロとして、この意見をはっきり書いた長谷川氏に敬意を表したい。

<実は、あの2件のかんぽの宿の売却用の物件資料は弊社にもやってきました。つまりデベから転売先がないかと。弊社の査定は、もちろん「よく分からない」「誰が買うかは全く想像できない」、よって価格を敢えて求められればやはり、限りなく「0円」というのが結論でした。

 何故ならば、
* 「どちらも建物及び温泉の給湯・排水施設が相当に老朽化し、その補修・交換費用が幾らかかるのか分からない(仮に空調も取り換えるとすれば合計数千万円となる可能性もありました。)」
* 「鳥取の岩美町の宿はそもそも何でこんな不便な所に宿があるのか全く理解出来ないほどの田舎であり、指宿も温泉街の中心地から大きく外れた所にあり、温泉街の中の立地としては3等地である。」
* 「つまりこの二つの温泉旅館とも誰が買っても温泉旅館業として収支が合うとは到底思えない」
* 「仮に解体した場合、解体費用の方が土地の更地価格を上回る可能性もある」
というのが私の結論でした。

100件以上の郵政公社の物件を入札したデベロッパー連合の入札価格の算定は間違いなくこんな感じだったと思います>。

長谷川氏のような不動産のプロでなくても、不動産にいくらか興味を持っている人であれば、不便な場所の土地には値段がつかない場合があるとか、解体費用の方が高くついて、むしろマイナスの評価になることもあるといったことは、素人でもわかる。

そんなことはおそらく、鳩山大臣も内心ではわかっているのだろう(鳩山家のような金持ちの人間は、たいてい不動産には詳しいはず)。郵政民営化路線を否定したいがために、ケチをつけているというふうにしか見えない。

<それを「こんな数千坪の土地が1万円なんておかしい!」という大臣の方が私から見れば全くおかしい>。

私もおかしいと思っていたが、長谷川氏のような不動産のプロがはっきり書いてくれると、説得力がある。

いまはネットがあるので、こういうときマスコミ報道がいくら偏向していても、ブログなどで一般人の広い意見を読めるし、長谷川氏のような専門家の意見も読める。その点では、ほんとうにいい時代になった。


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