2009.03.18
東大の「四行教授」 硬直化した日本の組織の特徴
朝日新聞グローブ - なぜ東大からノーベル賞が出にくいか 「四行教授」のぬるま湯の罪
http://globe.asahi.com/meetsjapan/090316/01_01.html

東大医学部卒、ペンシルベニア大助手、カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)教授などを経て、現在は政策研究大学院大教授である黒川清氏の寄稿。

タイトルにもなっている、東大の「四行教授」とは何か。

<東大では、この時代になってもいわゆる「四行教授」のステータスが高いという信じがたい現状がある。
四行教授とは、履歴書に「東京大学卒、東大助手、東大助教授、東大教授」(これからは准教授などが入って5、6行になる人も多いだろうが基本的には変わらない)の4行しかないという、純粋培養の道を歩んだ人のことだ。これが最も由緒正しく、付け加えるとしても2、3年の海外留学で箔(はく)をつける程度。東大に限らず、役所、企業にもある硬直化した日本の組織の特徴をよくあらわしている>。

「四行教授」という言葉があったのか。これはうまいネーミング。

たしかに、日本の組織は東大に限らず、こういう「純粋培養」の人を好む傾向がありそうだ。

これは、変化やチャレンジを嫌う「マインドの問題」であると同時に、変化やチャレンジをしようとすると実際に不利になるという「構造の問題」でもある。

企業が新卒ばかり欲しがるのも、どんなに仕事がキツくても社員が会社を辞められないのも、まさにこれだ。日本の組織の硬直的な「構造」は、変化やチャレンジに対する動機(インセンティブ)を損なうような法規制、評価・報酬体系に支えられている。その「構造」は、まさに「純粋培養」の人たちが作ったものだろう。

日本の硬直的な組織を変えていくためには、「マインド」を変えることに加えて、実際の「構造」を変えていく必要がある。山岸俊男が『安心社会から信頼社会へ』で指摘しているように、「構造」こそが「マインド」を作り出しているのだ。


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