2008.12.11
問題は内定取り消しではなく、新卒偏重の雇用慣行
雑種路線でいこう - 問題は内定取り消しより新卒偏重では
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20081211/lg

<正社員だって整理されちゃう時代なら、内定を取り消されたって仕方ないだろって気もする訳ですよ。で、問題は内定取り消しそのものじゃなくて、それが今後のキャリアに大きく響いてしまう新卒偏重の方なんだよね。ところが首相のコメントとか労働基準監督署の指導とか、おかしな方向に走っている。役人も記者も新卒採用が多いから、自分が暗黙のうちに差別を認めていることに気づかないのかな>。

<真面目な話、この新卒一括採用という慣行のせいで、たまたま卒業年次によって大変な不平等が生まれ、運の悪いときに卒業したというだけで、キャリア形成が非常に難しくなってしまうし、学生だって就職活動ばかりに精を出して真面目に学問できない>。

楠さんは以前からこの論点を何度も書いているが、まったくその通りだ。いわゆる「ロスジェネ」も、「チャンスが1回しかない」からそうなってしまった。

新卒偏重の採用は、年功序列・終身雇用という他の日本的雇用慣行、そして解雇規制を含む雇用規制と一体のものだろう。給与体系からいって新卒がいちばん安いし、社会経験がないから手間はかかる反面、いったんその会社の「色」に染まれば辞めにくい。辞めにくければ、何があってもガマンして一生働いてくれるだろう、という会社側の判断もありそうだ。

新卒偏重採用・年功序列・終身雇用といった日本的雇用慣行、そして解雇規制を含む雇用規制こそが、労働力の流動性をなくし、正規雇用・非正規雇用間の格差を固定し、日本の産業構造の硬直化を招いている。

新卒で採用されて、定年退職まで給料が増え続けるという「古きよき正社員モデル」を、いまだに守りすぎていることが問題だ。一種のセーフティネットとして考えられたはずの解雇規制も、正社員しか守らないので、いまやセーフティネットどころか「階級のカベ」になっており、「既得権益」と化している。

新卒かどうかで差別し、正社員かどうかで差別するいまの日本の雇用は、まったくフェアではない。そしてこれは、フェアかどうかという倫理の問題を超えて、この「設計の誤り」が労働者の意欲やモラルを失わせ、雇用流動性の低下、産業構造の固定化を招き、日本経済を沈滞させている。この雇用問題こそ、日本経済の「ガン」ではないだろうか。


関連エントリ:
タッド・バッジ 「終身雇用は、企業を、従業員をダメにしていく」
http://mojix.org/2008/11/29/you_can_do_it
フェアな競争こそが、価値と生産性を引き出す
http://mojix.org/2008/10/18/fair_competition
城繁幸氏の論考 「貧困ビジネスで稼ぐ連中」
http://mojix.org/2008/09/28/joe_hinkon
セーフティネットは会社の外に置き、「身分制度」をなくせ
http://mojix.org/2008/06/14/break_employment_hierarchy
IT産業を呪縛する 「変われない日本」
http://mojix.org/2008/06/02/kawarenai_nihon