2009.05.17
投資やギャンブルで手数料を取る立場は「確実に儲かる」か?
Life is beautiful - 外国為替相場取引(FX)で確実にもうける方法(必勝法)
http://satoshi.blogs.com/life/2009/05/%E5%A4%96..

<ルーレットの赤黒に賭け続けるのと同じで、「長くやっていれば手数料の分だけ必ず損をする」のがしろうとにとっての外国為替相場。短・中期的にみれば儲ける人も損をする人もいるが、たまたまある時期勝ち続けることできた人を「安定して利益を出した人」とは決して呼ばない。
 ではなぜこれだけ多くの人がFXや外貨預金に手を出してしまうかというと、その複雑さ故に「頭を使いさえすれば儲けられそうな気にさせる」魅力があるからだ(パチンコの「確率変動」が「システムの裏をかいて大もうけが出来そうだ」という幻想を生み出すのと同じ)>。

<じゃあ為替相場で儲ける方法が全くないか、というとそんなことはない。一番手っ取り早いのは、人のお金を預かって、それで相場で勝負をすることだ。たとえば「利益がでた場合利益の20%を手数料としていただき、損失が出た場合は手数料はいりません」という条件で人からお金を預かって相場で勝負をし続けたとしよう。もちろん、ギャンブルなので利益が出る場合もあるし損失が出る場合もあるが、長くやっていれば平均して2回に一回は利益が出せるので、それで十分な手数料が稼げる>。

外国為替相場取引(FX)で「確実に儲ける」方法などなく、唯一確実に儲かるのはブローカーや投資代行など、手数料を取る立場のみ、という話。

これはギャンブルなどについてよく言われる話で、FXが投資なのかギャンブルなのかは置くとしても、「確実に儲かる」のが手数料を取る立場のみ、という話の趣旨については、大まかにはその通りだろう。

しかしもう少し厳密に言うと、そうも言い切れない。投資やギャンブルをすることと、投資やギャンブルで手数料を取る立場になることは、やっていることの性質が異なる。

投資やギャンブルをすることは、投資やギャンブルでしかないが、投資やギャンブルで手数料を取る立場になることは、もはや投資やギャンブルではなく、「ビジネス(事業)」だ。

投資やギャンブルで手数料を取る立場になることを「確実に儲かる」と表現できるなら、すべてのビジネスは「確実に儲かる」と表現してもいいと思う。

投資とビジネスの違い
http://mojix.org/2008/05/14/investment_business

<「投資」は、自分で結果を動かせない。
結果を動かせないから、結果がどうなるかを「見通す」しかない。
この「見通し」の力で決まるのが投資だ>。

<「ビジネス」は、自分で結果を動かせる。
売上も利益も、自分で何らかの価値を作り出した結果だ。
「価値を生み出す」力で決まるのがビジネスだ>。

<逆にいうと、「投資」は自分で結果を動かす必要がない。
「見通し」が正しければ、何もしなくても儲かるのが投資だ>。

<「ビジネス」は、自分で結果を動かし、作り出さなければいけない。
何もしなくても結果が出てくることなどありえない。
自分でやらなければ、何も動かないのがビジネスだ>。

投資やギャンブルで手数料を取る立場になることは「ビジネス」であり、ラーメン屋を開くとか、ソフトウェアを作って売るといった、さまざまな「ビジネス」のひとつにすぎない。より一般的に言えば、それもひとつの「仕事」「職業」なのだ。

ビジネスや仕事は、投資やギャンブルに比べれば<自分で結果を動かせる>ので、その意味では「確実に儲かる」と言っても間違いではないかもしれない。

しかし、ビジネスや仕事にはコストがかかる。自分の身ひとつでできる場合であっても、少なくとも自分の時間や労力を持ち出す。普通はさらに、原材料費や家賃など、さまざまなコストがかかってくる。

さらに、ビジネスや仕事には「競合」がある。お客さんが自分のところに来る保証がない。投資やギャンブルで手数料を取る立場になっても、経営努力をしなければ、誰も来なくて、赤字になるだろう。

こんなことは、自らも経営者であり、MBAも受講しているsatoshiさんには自明の話だろう。「外国為替相場取引(FX)で確実にもうける方法(必勝法)」というこのエントリも、それをわかった上で書かれているはずだ。エントリの趣旨としては、FXが「確実に儲かる」ことはありえないということで、話をそこに絞ったのだと思う。

「投資とビジネスの違い」を考えるのにちょうどいい題材だと思うので、satoshiさんのエントリの補足として書いてみた。

なお、さらに厳密に言うと、「投資とビジネスの違い」にも書いた通り、投資にもビジネス的な側面があり、ビジネスにも投資的な側面があるので、厳密には線引きできない。例えば不動産投資などは、株やFXなどに比べると「ビジネス成分」が多くなり、良くも悪くも「仕事」に近づいてくる。