2009.06.13
鳩山総務相辞任  スパッと辞める「いさぎよさ」だけはいい
asahi.com - 鳩山総務相が辞任 郵政社長人事めぐり引責(2009年6月12日14時34分)
http://www.asahi.com/politics/update/0612/TKY200906120093.html

<鳩山総務相は12日午後、日本郵政社長人事をめぐる混乱の責任をとって、麻生首相に辞表を提出した。鳩山氏は同日午前、首相官邸で首相と会談した際、西川善文社長の続投を条件付きで認めるように説得を受けていた。首相による事実上の更迭とみられる。衆院解散・総選挙を前に、首相が指導力を発揮できず問題が長期化したことで、今後の首相の政権運営に大きな打撃となるのは避けられない>。

<鳩山氏は辞表提出後、「今の政治は正しいことを言っても認められないことがある。仲間と相談して潔く去るのはいいのではないかという意見があった。一時は辞任はしないと言っていたが、いずれ歴史が私の正しさを証明してくれる」などと述べた>。



鳩山総務相が辞任。麻生首相にとって、自分を支えてくれた盟友を切るのはつらい決断だったと思うが、これは正しい判断だろう。

「また大臣が辞めたのか」と言われるマイナス面はもちろんあるが、ここでズルズル鳩山総務相を守ると、郵政民営化を否定するという路線がいわば「公認」になってしまって、もっとひどいことになる。それでは小泉自民党の勝利がもたらした現政権の成立根拠を失い、党の体質としても古い自民党に逆戻りという印象を強める。それではどう考えても次の総選挙で自民党が勝つことはできず、政権交代になる。もし郵政民営化が否定されれば、自民党がどうとかいう問題を超えて、日本の構造改革自体も止まってしまうだろう。

鳩山総務相自身は「今の政治は正しいことを言っても認められない」など、自分が正しいと思っているようだが、「かんぽの宿」をめぐる言いがかりにしても、草なぎ全裸事件時の「最低の人間」という極悪発言にしても、どう考えてもこの人のほうがメチャクチャなことばかり言っている。

鳩山総務相が問題なのは、そのメチャクチャぶりが、麻生首相の漢字読み間違いとか、中川元大臣の酔っ払い会見といった「過失」ではまったくなくて、特定の政策的方向に動機づけられた「確信犯」的なふるまいであるという点だ。「かんぽの宿」問題に対するいちゃもんに象徴されているように、一見不正を告発する「庶民の味方」的なスタンスをとりながら、実際は郵政民営化を否定したいという「郵政族」的な動機がミエミエだ。

それでもこうして比較的スパッと辞めたのは、いさぎよくていい。事実上の更迭といっても、いきなりクビを言い渡されたのではなく、「西川続投なら、自分は辞めるぞ」とみずから宣言していたのが却下されたわけで、自分のほうからスタンスをはっきり示している。そこはいいと思う。

asahi.com - 「正しいと思ったことが通用しなかった」 鳩山氏の発言
http://www.asahi.com/politics/update/0612/TKY200906120268.html

<世の中、正しいことが通らない時があるんだなと。今はそういう思いですね。どんなに不透明で悪事をはたらいていても、私がそのことを、はっきり説明を世の中に対してもしてきましたが、今の政治は正しいことを行っても認められないことがあると。例は悪いけれども、全然ちょっと不適当ですけれども、西郷隆盛翁が征韓論で政府を離れますよね。西郷隆盛翁も信念の人だから、自分が正しいと思ったことが通用しなかったんで、いさぎよく政府を去ったわけで、私もそういった意味では、政府、内閣を去ることは躊躇しませんでした>。

政策的にはまったく賛成できないし、鳩山氏の側が「正しい」とはまったく思えないが、この「いさぎよさ」はいいと思う。

ここで鳩山氏は西郷隆盛の名前を出しているが、そういえば鳩山氏の顔は、ちょっと西郷隆盛に似ているかも。

ウィキペディア - 西郷隆盛
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF..




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