2010.02.09
田村耕太郎参議院議員が民主党入り 日本政治の「キーパーソン」に
時事ドットコム - 民主会派、社民抜きで過半数=田村参院議員が入党(2010/02/08-20:34)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010020800703

<自民党を離党した田村耕太郎参院議員(鳥取選挙区)は8日午後、民主党の小沢一郎幹事長と同党本部で会談し、小沢氏からの入党要請を受諾すると伝えた。この結果、民主党が国民新党などと組む参院の会派勢力は121議席となり、社民党抜きでも事実上の過半数を確保することが決まった。連立政権の運営に影響しそうだ。
 夏の参院選で民主党は、鳥取選挙区に新人を擁立する予定。会談後に記者会見した田村氏は、小沢氏から比例代表での出馬を求められ、受け入れたことを明らかにした>。

<小沢氏は5日に田村氏に入党を要請。8日の会談では「民主党の成長戦略、経済財政戦略を強化するため、良い意味で民主党を変えるために頑張ってほしい」と協力を求めた>。

asahi.com - 参院民主系、社民抜きでも過半数 自民離党の田村氏入党(2010年2月8日22時0分)
http://www.asahi.com/politics/update/0208/TKY201002080269.html



<自民党を離党した田村耕太郎参院議員が8日、民主党の小沢幹事長と党本部で会い、民主党入党の考えを伝えた。これによって民主系会派「民主党・新緑風会・国民新・日本」は参院の242議席のうち、121議席になり、原則として採決に加わらない議長を除いて参院の過半数に達する。鳩山政権は連立与党の社民党が離脱しても、参院での主導権を維持することが可能になる>。

産経ニュース - 自民離党の田村耕太郎参院議員が民主入党 参院の半数確保(2010.2.8 19:37)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100208/stt1002081722002-n1.htm


記者会見で民主党に入党することを表明する田村耕太郎参院議員=2月8日午後、東京・永田町の参院議員会館

<昨年末に自民党を離党した田村耕太郎参院議員(鳥取選挙区)は8日、民主党本部で小沢一郎幹事長と面会し、入党を届け出た。党役員会も入党を了承した。小沢氏は田村氏に夏の参院選では比例代表で出馬するよう要請した。田村氏の入党で、民主党は国民新党などと統一会派を組む参院で定員の半数(121)を確保し、社民党抜きでの法案可決が事実上可能となる。
 田村氏は小沢氏との面会後に都内で記者会見し、民主党入りについて「本当に逡巡(しゅんじゅん)したが、日本の経済には時間がなく、成長戦略は政権の中からやるしかない」と理由を述べた。小沢氏からは面会の際、「(政策に)違いがあるのは当然。話し合ってより良い方向にしていってくれ」と言われたことを明らかにした>。

これはビッグニュースだ。この田村氏の民主党入りは、今後の日本政治にとってターニング・ポイントになるかもしれない。

田村氏は私がもっとも注目している政治家の1人であり、このブログでも田村氏についてたびたび書いている

昨年12月に田村氏が自民党を離党したとき、私は<田村氏の考え方からいって、いまの民主党に加わるということはまず考えられない。記事にもあるように新党を作る方向か、既存の党に加わるとしたら、ありえるのは「みんなの党」くらいだろう>と書いた。

政策的な方向でいえば、「みんなの党」のほうがフィットしていることは間違いない(田村氏も「みんなの党」も、経済成長重視の「小さな政府」路線)。しかし、仮に田村氏がいま「みんなの党」に加わって、次の参院選で「みんなの党」が大きく躍進したとしても(かなり躍進するだろうと私は見ている)、政権を奪取できるわけではない。民主党政権は、少なくとも次の総選挙までは続くわけだから、2013年までは続くと見るのが自然だろう。

仮に2013年より前に総選挙があったとしても、その時点で民主党に勝てる勢力がなければ、政権交代は起こらない。いまや自民党も迷走・ジリ貧で、みんなの党は有望だがまだ小さいし、首長連合などの動きもまだ具体化していない。結局、民主党に勝てる勢力はどこにもないのが現状だ。

その前提で考えると、いまの民主党政権がこの調子で2013年まで続いてしまうと、政策がひどすぎるので、ほんとうに日本が壊滅してもおかしくない。いまやJALばかりか、日本経済を支える屋台骨のひとつであるトヨタまで弱りはじめており、「日本のビジネスモデル」自体が危機に瀕している。日本の政治がヘボいのは昔からだが、それも民間が優秀だったからなんとかなっていたわけで、その民間まで崩れるとなれば、もはや誰も日本を支えられなくなる。トヨタは日本にとって「一家の大黒柱」みたいな存在であり、トヨタが稼いだカネが、社員・下請け・広告(マスコミ)・政府(税金)などあらゆる方向に流れて、それで日本が支えられているという面が小さくない。もしトヨタが倒れるようなことがあれば、その影響の深刻さはJALなどの比ではないだろう。日本は雇用や産業構造が硬直的で、「変化への対応」に慣れていないので、「大黒柱」の倒壊による被害はいっそう大きくなると思う。

私のように、ただニュースやネットを見ている程度の人間でさえ、日本に対するこういう危機感で日々ジリジリしているのだから、田村氏のように世界じゅうを飛び回り、要人と会ったり、現場を見たりしていれば、なおさらだろう。実際、田村氏はブログやツイッターで「もう時間がない」という焦りをたびたび漏らしている。

田村氏にとって、いまの民主党は政策的にはフィットしない、いわば「敵陣」だろう。しかしそれでも、ここで民主党に入って日本を変えなければ、もう「間に合わない」かもしれない。上の産経ニュースのなかで、田村氏は「本当に逡巡(しゅんじゅん)したが、日本の経済には時間がなく、成長戦略は政権の中からやるしかない」と語っている。これまでの田村氏の言動をいくらか追ってきた人であれば、この言葉は保身のための言い訳ではなく、本心であると感じるのではないか。

民主党にとっては、田村氏の参議院議席は大きな意味を持つので、過半数を取るための「数の論理」で声をかけたという側面ももちろんある。民主党が田村氏を単なる「コマ」と見ているのか、その力量をほんとうに買っているのかは、これから民主党が田村氏をどう処遇するかで、すぐにわかるだろう。鳩山・菅・亀井のトンデモ路線が後退し、経済政策において田村氏の存在感が強まってくれば、私は民主党を見直すし、日本にも希望が見えてくるかもしれない。

もし民主党が田村氏を冷遇し、「コマ」扱いしたとしても、それに甘んじる田村氏ではないはずだ。そのときはそのときで、田村氏は民主党にとって「爆弾」のような存在になり、経済のわかるシンパを引き連れて脱党するとか、なんらかの動きが起きるだろう。民主党と田村氏という「水と油」のような組み合わせによって、どう転んでも、何か面白いことが起きると思う。

このような意味で、私は田村氏の民主党入りを支持する。いまは何をおいても、日本を救うことが先決だからだ。田村氏は民主党政権の経済政策の点でも、「過半数」の政治勢力的にも、日本政治の「キーパーソン」になったと言えるだろう。

田村氏はツイッター(@kotarotamura)で、さっそく「入党なう。」と報告したあと、次のように述べている。

今の民主党がいいなんて全然思っていない。それは小沢さんにも伝えた。だったらぜひとも議論していい方向に変えてくれと言われた。騙されて使い捨てかもしれない。そんなの想定内!でも何もしないよりも全然ましだと思う>。

衆議院をあと3年以上握る連中の政策をどうやって変えることができるのか?私は中でぼこぼこにされてもいいたいことやってやりたいことやってみる。政治生命いつ終ってもいい!生業と思っていないから>。

期待通りの、いつもの元気のいい田村氏で安心した。

「騙されて使い捨てかもしれない。そんなの想定内!」「政治生命いつ終ってもいい!生業と思っていないから」というのは、実は重要なポイントだ。「クビになってもいい」という度胸と自信(才覚やカネ)がないと、いざというときに自分の信念を曲げてしまうからだ。これは日本の雇用問題の核心でもある。「そのポジションにしがみつく」しかない状況だと、リスクテイクができないのだ。

政治生命にこだわりのない田村氏は、いわば「怖いものなし」だろう。田村氏という「やんちゃ坊主」の乱入で、経済オンチの民主党政権がこれからどう変わっていくのか、実に楽しみだ。とりあえず、鳩山総理・菅副総理・亀井大臣との激突が見たい。


関連エントリ:
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