2010.05.03
シャッター通りはなぜ生まれたか? 檜山平「シャッター通りの社会学」
檜山の日記 - シャッター通りの社会学:コンソーシアム宮崎合同進学説明会の模擬授業(1)
http://blog.hiyamaosamu.com/article/121943585.html

<「シャッター通り」という言葉をお聞きになったことがあると思います。宮崎市の中心市街地の商店街においては、お店が潰れてシャッターが閉じられたままの「空き店舗」がたくさんあります。空き店舗だらけになってしまった商店街をシャッター通りと呼んでいます。シャッター通りは、宮崎県のような過疎地だけの現象ではなく、日本全国で広く見られるものです。
 今日の模擬授業では、シャッター通りはなぜ生まれたのか?ということについて考えてみたいと思います>。

社会学者の檜山平(ひやまおさむ)氏が、2009年6月に宮崎県の高校生向けにおこなった講演の要旨をまとめたもの。

「シャッター通り」がなぜできてしまうのか、社会学的な見地からまとめている。この種の研究や解説本はおそらくたくさんあるだろうが、高校生向けに噛み砕いていて、かつそれをブログの4回分のエントリにまとめているので、とても読みやすい。

シャッター通りの社会学:コンソーシアム宮崎合同進学説明会の模擬授業(2)
http://blog.hiyamaosamu.com/article/121943657.html

シャッター通りの社会学:コンソーシアム宮崎合同進学説明会の模擬授業(3)
http://blog.hiyamaosamu.com/article/121943819.html

シャッター通りの社会学:コンソーシアム宮崎合同進学説明会の模擬授業(4)
http://blog.hiyamaosamu.com/article/121943904.html

「スプロール化」現象や「コンパクトシティ」政策などの背景に何があるのか、手短に理解できる。次のようなキーワードにピンと来る人は、ぜひ読んでみてほしい。

「シャッター通りの社会学」キーワード:
シャッター通り、大店法、スーパーマーケット、郊外、ニュータウン、ショッピングセンター、自家用車、モータリゼーション、ロードサイド店舗、まちづくり三法、スプロール化、コンパクトシティ、ポジティブフィードバック、社会システム理論

社会の問題は「ワルモノ」が引き起こすのでなく、「システム」「メカニズム」が引き起こすのだ、という社会学的・システム的な見方の実例としてもわかりやすい内容になっている。

<社会の問題は「道徳」の問題ではない。どこかに悪い人がいて悪いことをするから問題が生じるのではない。社会の「良し悪し」は行為の「善し悪し」の問題ではない>。

<大型店を経営する企業が道徳的に悪いことをしたのではありません。大型店を経営する企業は大店法の規制によって中心市街地に出店できないから、仕方なく郊外に出店したのです。大型店を経営する企業を道徳的に非難しても無意味です。
 大店法の結果シャッター通りが生まれたという意図せざる結果は客観的なメカニズムとして生じたのです>。


関連:
ウィキペディア - シャッター通り
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7..
ウィキペディア - コンパクトシティ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3..
ウィキペディア - スプロール現象
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9..

関連エントリ:
信号や標識を撤去すると、逆に安全になる?ハンス・モンデルマンの「Shared Space(共有空間)」
http://mojix.org/2009/10/13/shared_space
世界の都市にひろがる自転車シェアリング(レンタサイクル)
http://mojix.org/2009/07/07/bicycle_sharing
日本の医療分野に存在する悪循環 横山禎徳氏による指摘
http://mojix.org/2009/04/10/yokoyama_med_sys