2010.05.16
「マイナスの方法」で叩くのは、叩く側の評価を落とす
asahi.com - 支持率下落「国民いらだち強めている」14日の鳩山首相(4/4ページ)(2010年5月14日20時46分)
http://www.asahi.com/politics/update/0514/TKY201005140513_03.html

「その中に、いー、政治とカネの問題も、おー、たぶんおっきく影響していると、そのように思っています」

など、鳩山首相の口調がそのまま文字にされている。しかし、「いー」とか「おー」とか、「おっきく」とか、ここまで忠実に書くべきなのだろうか。忠実とか、客観的な報道というよりも、むしろ一種の印象操作であると思う。

麻生首相のときも、こういう意地悪なトーンの記事がよく見られた。国民の政権支持率が明確に低迷しているので、朝日新聞に限らず、マスコミが「叩きモード」に入っているのではないか。

しかしこういうやり方は、「こいつはもう弱っていて、叩いても大丈夫そうだから、叩こう」みたいな、集団イジメみたいなものを感じる。日本では、こういう「値踏み」をする人、「強い人にはペコペコして、弱い人を叩く」ような精神構造の人をしばしば見かけるが、これではまるで逆だ。強い人や評価の高い人なら多少叩いても大丈夫だが、弱い人や苦しんでいる人には、手加減すべきだろう。

鳩山首相は国の最高責任者なので、決して「弱い人」ではないし、ダメな政治はもちろん叩かれてもいい。しかし、叩くならあくまでも政策内容によって堂々と叩くべきで、こういう印象操作みたいな姑息な姿勢は、むしろマスコミの信頼を落とすだけだろう。

これは「反論ヒエラルキー」でいえばDH2の「論調批判」であり、DH3の「単純否定」よりも質の悪い方法だ。つまりこれは、「叩き方」としては「マイナスの方法」なのである。「マイナスの方法」で叩くのは、むしろ叩いている側の評価を落とす。


関連エントリ:
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「麻生叩き」は何も解決しない
http://mojix.org/2008/12/20/aso_tataki
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