郵政法案先送りか 国民新党は連立離脱へ?
これは面白い展開になってきた。
YOMIURI ONLINE - 民主「上げ潮で参院選」、国民新はけん制(2010年6月10日09時20分)
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100610-OYT1T00178.htm
臨時閣議に臨む菅首相(右、左端から小沢環境相、仙谷官房長官)(9日、首相官邸で)
<読売新聞社の緊急全国世論調査で菅内閣の支持率が64%に達し、夏の参院選情勢が様変わりしている。
民主党は、「V字回復」の勢いを保ったまま選挙戦に突入したい考えだ。伸び悩む「第3極」政党や自民党からは、戦略の見直しを求める声が出ている>。
<今後の課題は、6月16日の会期末まで約1週間となった今国会をいかに安全運転で乗り切るかだ。「6月24日公示―7月11日投開票」の参院選日程を変更せず、支持率を維持したまま選挙戦に臨むのが基本戦略だ>。
<しかし、国民新党は会期を延長してでも郵政改革法案成立を求める考えで、自見幹事長は9日、法案が成立しなければ連立離脱を視野に入れるとの考えを表明した。同党代表の亀井金融相も「選挙のために政治をやっているのではない。支持率が高いうちに選挙をやれという政治家は立候補しないでいい」と民主党をけん制した>。
<これに対し、参院民主党幹部は9日、「民主党には今、追い風が吹いている。会期を延ばせば、荒井国家戦略相の事務所費問題などで野党に追及され、せっかくの上げ潮ムードが一気にしぼむだけだ」と会期延長に否定的な考えを強調した。別の幹部は「社民党に続いて、今度は国民新党とのチキンレースだ」と述べ、国民新党との「我慢比べ」が続くとの見方を示した。与党内でのごたごたが長引けば、新政権への期待感がしぼみかねず、民主党にとっては悩ましいところだ>。
asahi.com - 民主「郵政、今国会の成立厳しい」 国民新党内に離脱論(2010年6月10日12時21分)
http://www.asahi.com/politics/update/0610/TKY201006100173.html
<民主党の樽床伸二国会対策委員長は10日朝、国民新党の下地幹郎国会対策委員長と国会内で会談し、今国会の会期延長は難しく、今国会で同党が求めている郵政改革法案を成立させることは困難との見通しを伝えた。下地氏はこれに強く反発。同党内では連立離脱を求める声が強く、与党間の調整が難航している。
<樽床氏は9日夜、首相公邸で菅直人首相と仙谷由人官房長官、枝野幸男幹事長、輿石東参院議員会長と協議し、終盤国会の運営をめぐり協議した。樽床氏は下地氏との会談でこの内容を伝え、「情勢は厳しい。郵政改革法案の成立以外だったら何でもやる」と述べて協力を要請した>。
<これに対し、下地氏は「亀井静香代表は本気だ。これでは参院で(菅首相への)問責決議案に賛成せざるをえない」と反発。今国会で成立しない場合は、連立離脱を辞さない考えを伝えた>。
国民新党にとっては、今国会での郵政法案成立こそ、連立で政権入りしている存在意義そのものだから、これを先送りされてはたまらない。しかし民主党にとっては、支持率がV字回復したいまのうちに、早く参院選をおこないたい。そもそも、この郵政法案はどう見ても改革に逆行するもので、一部の人間の既得権益を守るために、国民全体が負担を強いられるものだ。連立している都合上、民主党もそうは言えないが、本音ではこの郵政法案を通すべきでないと思っている議員も少なくないだろう。これを通せば郵政票は取れるだろうが、国民全体を敵に回すことになる。
おそらく菅内閣の顔ぶれを決めた時点で、郵政法案を先送りすることは念頭にあっただろうし、そうすれば国民新党が連立離脱を言い出すことも覚悟の上だっただろう。菅首相は亀井氏と握手しつつも、きっとそこまで考えていたと思う。郵政法案や国民新党を積極的に支持している人はあまりいないので、むしろ郵政法案を先送りして国民新党が連立を離脱してくれたほうが、国民からの支持率は高まる。亀井氏こそ、いまや菅内閣にとって最後のジャマ者であり、「ラスト・モンスター」なのだ。
47NEWS 共同ニュース - 参院選7月11日が大勢 民主、延長見送りで調整
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061001000267.html
仙谷官房長官らと会談し、事務所前で質問に答える亀井金融・郵政改革相=10日午前、東京都新宿区
<政府、民主党は10日、報道各社の世論調査で菅内閣の支持率が60%を超えたことから、参院を中心に今国会の会期延長反対論が大勢となった。これを踏まえ、関係幹部は、郵政改革法案の今国会成立を図るため会期延長を求める国民新党側への説得を続けた。延長が行われない場合、参院選は「6月24日公示―7月11日投開票」の日程が有力となる。ただ、国民新党は反発、連立離脱も辞さない構えで、両党の綱引きが激しくなっている>。
ここまで支持率が急回復すれば、民主党は参院選のために郵政票に色目を使う必要もないし、仮に衆議院も解散してダブル選にしたとしても、むしろ有利なくらいだろう。だから、国民新党の「連立を離脱するぞ」という脅しは、いまの民主党にはまったく怖くないはずだ。むしろ、改革に逆行する郵政法案の成立を阻止して、国民新党が連立を離脱し、亀井氏がいなくなってくれたほうが、菅内閣の「完成度」はさらに高まり、国民からの支持率もいっそう高まるくらいだろう。
菅内閣は鳩山内閣に比べて、「反小沢派」で「政策通」の前原・野田グループ色が強まり、かつ閣僚も9か月の経験を積んで、増税論をはじめ現実路線にシフトしてきている。菅氏も基本的には社会主義的なスタンスの人だが、鳩山氏のように青臭い理念をぶち上げて世界をアゼンとさせることもなく、いまのところは地に足がついている感じだ。この現実路線は、安易な増税や官僚依存に傾きやすいところもあり、行革や経済成長が置き去りにされないよう注意が必要だが、しかし鳩山内閣の迷走ぶりに比べれば、いくらか安心感があることも確かだろう。
その鳩山内閣の迷走を生み出した原因の半分くらいは、他でもない亀井氏なのだ。郵政法案が先送りになり 国民新党が連立を離脱して、亀井氏が内閣からいなくなれば、菅内閣はその厄介な「置き土産(みやげ)」からようやく解放されることになる。こうなれば菅内閣の支持率はいっそう高まり、民主党は絶好のタイミングで参院選を迎えることになりそうだ。
関連エントリ:
菅直人新内閣発足 菅首相「最小不幸社会に」 仙谷官房長官「若さ、清新、仕事大好き内閣」
http://mojix.org/2010/06/09/kan-cabinet
菅直人氏、第94代首相に 小沢氏はキングメーカーでなくなり、「反小沢派」が「主流化」しつつある
http://mojix.org/2010/06/05/kan_shushou
YOMIURI ONLINE - 民主「上げ潮で参院選」、国民新はけん制(2010年6月10日09時20分)
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100610-OYT1T00178.htm
臨時閣議に臨む菅首相(右、左端から小沢環境相、仙谷官房長官)(9日、首相官邸で)
<読売新聞社の緊急全国世論調査で菅内閣の支持率が64%に達し、夏の参院選情勢が様変わりしている。
民主党は、「V字回復」の勢いを保ったまま選挙戦に突入したい考えだ。伸び悩む「第3極」政党や自民党からは、戦略の見直しを求める声が出ている>。
<今後の課題は、6月16日の会期末まで約1週間となった今国会をいかに安全運転で乗り切るかだ。「6月24日公示―7月11日投開票」の参院選日程を変更せず、支持率を維持したまま選挙戦に臨むのが基本戦略だ>。
<しかし、国民新党は会期を延長してでも郵政改革法案成立を求める考えで、自見幹事長は9日、法案が成立しなければ連立離脱を視野に入れるとの考えを表明した。同党代表の亀井金融相も「選挙のために政治をやっているのではない。支持率が高いうちに選挙をやれという政治家は立候補しないでいい」と民主党をけん制した>。
<これに対し、参院民主党幹部は9日、「民主党には今、追い風が吹いている。会期を延ばせば、荒井国家戦略相の事務所費問題などで野党に追及され、せっかくの上げ潮ムードが一気にしぼむだけだ」と会期延長に否定的な考えを強調した。別の幹部は「社民党に続いて、今度は国民新党とのチキンレースだ」と述べ、国民新党との「我慢比べ」が続くとの見方を示した。与党内でのごたごたが長引けば、新政権への期待感がしぼみかねず、民主党にとっては悩ましいところだ>。
asahi.com - 民主「郵政、今国会の成立厳しい」 国民新党内に離脱論(2010年6月10日12時21分)
http://www.asahi.com/politics/update/0610/TKY201006100173.html
<民主党の樽床伸二国会対策委員長は10日朝、国民新党の下地幹郎国会対策委員長と国会内で会談し、今国会の会期延長は難しく、今国会で同党が求めている郵政改革法案を成立させることは困難との見通しを伝えた。下地氏はこれに強く反発。同党内では連立離脱を求める声が強く、与党間の調整が難航している。
<樽床氏は9日夜、首相公邸で菅直人首相と仙谷由人官房長官、枝野幸男幹事長、輿石東参院議員会長と協議し、終盤国会の運営をめぐり協議した。樽床氏は下地氏との会談でこの内容を伝え、「情勢は厳しい。郵政改革法案の成立以外だったら何でもやる」と述べて協力を要請した>。
<これに対し、下地氏は「亀井静香代表は本気だ。これでは参院で(菅首相への)問責決議案に賛成せざるをえない」と反発。今国会で成立しない場合は、連立離脱を辞さない考えを伝えた>。
国民新党にとっては、今国会での郵政法案成立こそ、連立で政権入りしている存在意義そのものだから、これを先送りされてはたまらない。しかし民主党にとっては、支持率がV字回復したいまのうちに、早く参院選をおこないたい。そもそも、この郵政法案はどう見ても改革に逆行するもので、一部の人間の既得権益を守るために、国民全体が負担を強いられるものだ。連立している都合上、民主党もそうは言えないが、本音ではこの郵政法案を通すべきでないと思っている議員も少なくないだろう。これを通せば郵政票は取れるだろうが、国民全体を敵に回すことになる。
おそらく菅内閣の顔ぶれを決めた時点で、郵政法案を先送りすることは念頭にあっただろうし、そうすれば国民新党が連立離脱を言い出すことも覚悟の上だっただろう。菅首相は亀井氏と握手しつつも、きっとそこまで考えていたと思う。郵政法案や国民新党を積極的に支持している人はあまりいないので、むしろ郵政法案を先送りして国民新党が連立を離脱してくれたほうが、国民からの支持率は高まる。亀井氏こそ、いまや菅内閣にとって最後のジャマ者であり、「ラスト・モンスター」なのだ。
47NEWS 共同ニュース - 参院選7月11日が大勢 民主、延長見送りで調整
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061001000267.html
仙谷官房長官らと会談し、事務所前で質問に答える亀井金融・郵政改革相=10日午前、東京都新宿区
<政府、民主党は10日、報道各社の世論調査で菅内閣の支持率が60%を超えたことから、参院を中心に今国会の会期延長反対論が大勢となった。これを踏まえ、関係幹部は、郵政改革法案の今国会成立を図るため会期延長を求める国民新党側への説得を続けた。延長が行われない場合、参院選は「6月24日公示―7月11日投開票」の日程が有力となる。ただ、国民新党は反発、連立離脱も辞さない構えで、両党の綱引きが激しくなっている>。
ここまで支持率が急回復すれば、民主党は参院選のために郵政票に色目を使う必要もないし、仮に衆議院も解散してダブル選にしたとしても、むしろ有利なくらいだろう。だから、国民新党の「連立を離脱するぞ」という脅しは、いまの民主党にはまったく怖くないはずだ。むしろ、改革に逆行する郵政法案の成立を阻止して、国民新党が連立を離脱し、亀井氏がいなくなってくれたほうが、菅内閣の「完成度」はさらに高まり、国民からの支持率もいっそう高まるくらいだろう。
菅内閣は鳩山内閣に比べて、「反小沢派」で「政策通」の前原・野田グループ色が強まり、かつ閣僚も9か月の経験を積んで、増税論をはじめ現実路線にシフトしてきている。菅氏も基本的には社会主義的なスタンスの人だが、鳩山氏のように青臭い理念をぶち上げて世界をアゼンとさせることもなく、いまのところは地に足がついている感じだ。この現実路線は、安易な増税や官僚依存に傾きやすいところもあり、行革や経済成長が置き去りにされないよう注意が必要だが、しかし鳩山内閣の迷走ぶりに比べれば、いくらか安心感があることも確かだろう。
その鳩山内閣の迷走を生み出した原因の半分くらいは、他でもない亀井氏なのだ。郵政法案が先送りになり 国民新党が連立を離脱して、亀井氏が内閣からいなくなれば、菅内閣はその厄介な「置き土産(みやげ)」からようやく解放されることになる。こうなれば菅内閣の支持率はいっそう高まり、民主党は絶好のタイミングで参院選を迎えることになりそうだ。
関連エントリ:
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http://mojix.org/2010/06/09/kan-cabinet
菅直人氏、第94代首相に 小沢氏はキングメーカーでなくなり、「反小沢派」が「主流化」しつつある
http://mojix.org/2010/06/05/kan_shushou