2010.06.12
亀井静香金融・郵政改革担当相が閣僚辞任 日本の政治も経済も振り回した「ラスト・モンスター」の退場
今国会の会期延長がなくなり、郵政法案が先送りになったことを受けて、亀井氏が辞任した。鳩山内閣で大暴れし、日本の政治も経済も振り回した張本人、「ラスト・モンスター」がついに退場である。

毎日jp - 亀井郵政相:法案先送りで辞任へ 国民新、連立は維持(2010年6月10日 22時48分 更新:6月11日 10時13分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100611k0000m010123000c.html


会談に臨む民主党の枝野幸男幹事長(右)と国民新党の自見庄三郎幹事長=国会内で2010年6月10日午後7時57分、長谷川直亮撮影

<10日夕の民主、国民新党の幹事長、国対委員長会談で、民主党の枝野幸男幹事長は「郵政改革法案は会期延長しても成立は困難だ。参院選後に成立させるほうが実現性が高い」と述べ、参院選後の臨時国会に持ち越す考えを示した。同日夜に再開した幹事長、国対委員長会談では、枝野氏が郵政改革法案を臨時国会で成立させるとする覚書をかわすことを提案した>。

<覚書を持ち帰った国民新党は両院議員総会で協議したが紛糾。民主党は時間がかかるとみてとるや、国民新党との合意を待たず、与野党国対委員長会談を開いた。樽床氏は「与党間の調整はついていない」と前置きし、6月16日閉会案と1日延長の17日閉会案を提示した。国民新党を置き去りにする見切り発車だった。民主党幹部は「もう変更はない。後は国民新党の判断だ。離脱するならすればいい」と突き放した>。

<枝野氏と国民新党の自見庄三郎幹事長は10日深夜から11日未明にかけて国会内で断続的に協議。会談後、自見氏は「大筋は連立存続だ」と語り連立維持を表明。同党幹部は「亀井さんは閣僚を辞任する。連立は離脱せず、副大臣と政務官は残す」と語った>。

<国民新党は「連立離脱」をカードに民主党を揺さぶった。しかし、菅内閣誕生で内閣支持率と民主党支持率は急上昇。民主党にとって国民新党が持つ組織票「郵政票」は大きな魅力だったが、支持率回復でその重みは相対的に下がった>。


会見で辞任の意向を話す亀井静香金融・郵政担当相=東京都千代田区で2010年6月11日午前1時10分、三浦博之撮影

<亀井氏が辞任を表明したのは、連立重視の鳩山由紀夫前首相-小沢一郎前幹事長の路線から、菅首相-仙谷由人官房長官ラインに移った点が大きい。菅氏と亀井氏は昨年12月、09年度2次補正予算を巡って対立した。菅氏は財政規律の観点から1次補正の執行凍結分(2.7兆円)で収める意向だったが、亀井氏が大規模な財政出動を主張し7.2兆円まで増額。最終局面では、連立与党の党首級による基本政策閣僚委員会で、20分間も口論する一幕もあった>。

asahi.com - 亀井氏、閣僚辞任へ 郵政法案見送りで 連立維持の方針(2010年6月11日1時35分)
http://www.asahi.com/politics/update/0611/TKY201006100540.html


党本部で会見する国民新党の亀井静香代表=11日午前1時12分、東京都千代田区、長島一浩撮影

<国民新党代表の亀井静香・郵政改革担当相は11日未明、菅直人首相が今国会での郵政改革法案の成立を見送る方針を決めたことを受け、閣僚を辞任する意向を固めた。一方、国民新党は党所属国会議員による会議を開き、連立政権には残る方針を決めた>。

<亀井氏は11日未明、東京都内での記者会見で「代表である私は、今国会で(郵政改革法を)成立させる約束を履行させられなかった責任をとる。閣僚から出るということを、民主党の枝野(幸男)幹事長から首相に伝えて欲しいと言った」と述べた>。

<国民新党は連立離脱はせず、松下忠洋・経済産業副大臣、長谷川憲正総務政務官は留任する。亀井氏は会見で、求められれば後任の閣僚も国民新党から出す方針を明らかにし、自見庄三郎幹事長を推す考えを示した>。

asahi.com - 亀井氏「つまらん男だが、私なりのけじめ」 会見要旨(2010年6月11日11時1分)
http://www.asahi.com/politics/update/0611/TKY201006110158.html


記者会見後、国民新党本部を後にする亀井静香代表=11日午前1時41分、東京都千代田区平河町、長島一浩撮影

asahi.com - 亀井金融相の辞任、閣議で了承 後任に自見幹事長(2010年6月11日12時5分)
http://www.asahi.com/politics/update/0611/TKY201006110196.html

<国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相は11日未明、菅直人首相が郵政改革法案の今国会成立を見送り、参院選を「6月24日公示、7月11日投開票」の日程で行う方針を決めたことを受けて、閣僚を辞任する意向を表明した。菅内閣は同日午前の閣議で亀井氏の辞任を了承した。ただ、国民新党は連立政権にはとどまる方針で、後任には同党の自見庄三郎幹事長が就任する>。

ロイターブログ 討論×闘論 - 亀井氏は、何をもたらしたのか(2010年06月11日 6:06 pm)
http://blogs.jp.reuters.com/blog/2010/06/11/%E4%BA%80..



<亀井静香郵政・金融担当相が辞任した。昨年9月、郵政・金融担当相に就いた亀井氏は就任直後、中小企業の借入の返済猶予制度の創設をぶち上げるなど、その「経済常識」を疑う発言に、市場や金融界は度肝を抜かれた。モラトリアム法案は、その後、中小企業金融円滑化法として結実>。

<返す刀で今度は、国民新党にとっての本丸、郵政改革にも着手し、新郵政グループのトップには、元大蔵次官の斉藤次郎氏を抜てき。今回、郵政改革法案の成立は先送りされることになったものの、道筋は付けた格好だ>。

<「鳩山内閣で、最も仕事をした大臣ではなかったか」――。ある官僚は、亀井氏をこう評した。与党とはいえ小党でしかないのに、その存在感と政策実現能力は卓越している。「耳目を集めるアドバルーンを打ち上げ、その後、徐々に落とし所を探る政治手法は類(たぐい)まれ。うちにもそういう政治家がいたら」と語るのは、民主党議員の古参秘書だ>。

たしかに亀井氏こそ、鳩山内閣で「最も仕事をした大臣」だろう。「耳目を集めるアドバルーン」というか、まずメチャクチャなことをブチ上げて国じゅうを動揺させる。そして最後に「落とし所を探る」というか、いくらか妥協したように見せる。結局、最初のメチャクチャな要求そのままではないにしても、ただ大声でゴネるだけで、一定の「成果」を得られるのだ。これが亀井氏の手法である。さすがは元警察官僚であり、すごい「交渉力」だ。お坊ちゃん政治家とはくぐってきた世界がぜんぜん違う

亀井氏の政策はメチャクチャだが、もともとそういう人だろう。だから、責任があるのは亀井氏本人という以上に、その亀井氏を金融・郵政改革担当相という要職に任命して、ずっと好き放題させつづけた鳩山元首相である。その意味では、鳩山元首相は亀井氏の政策に一定のシンパシーを感じていたはずであり、亀井氏から次々に出てきたメチャクチャな政策は、一定程度、鳩山元首相の考えでもあったはずだ。亀井氏のメチャクチャな政策に鳩山元首相がお墨付きを与えたことで、日本の経済・金融は大混乱し、「日本はもうダメだ」という失望・諦念を与えた。ただでさえ金融危機の打撃からなかなか立ち直れないところに、この政治の失敗がダメ押しを与えたのだ。これによる日本の経済損失はきわめて大きいだろう。資金や企業、人材、雇用などが実際に国外流出しただけでなく、「やる気」や「希望」を失わせてしまったのだ。

亀井氏が閣僚辞任しても、国民新党との連立は継続で、亀井氏の後任には自見幹事長が入り、郵政法案も参院選後の臨時国会で「速やかな成立を図る」という。それでも、亀井氏が要職から外れてくれたのは、大きな一歩だろう。私は菅内閣をそれほど支持しているわけではないが、鳩山内閣に比べれば、顔ぶれの点でも、経験を積んでいる点でも、かなり前進したことは間違いないと思う。少なくとも、鳩山内閣の「絶望感」に比べれば、菅内閣にはいくらかの「希望」が感じられるのだ。


関連:
ウィキペディア - 亀井静香
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%80..

関連エントリ:
亀井金融相のメチャクチャな経団連批判 「ワルモノを懲らしめる」という「勧善懲悪」思考では、経済問題は解決しない
http://mojix.org/2009/10/08/kamei_keidanren
亀井金融相のジンバブエ路線 地獄への道は「友愛」で敷き詰められているのか
http://mojix.org/2009/09/28/kamei_zimbabwe
日本は再び「大きな政府」路線へ 鳩山「未体験ゾーン」内閣
http://mojix.org/2009/09/17/hatoyama_mitaiken