2010.12.21
レジス・アルノー「スカイツリーは東京衰退のシンボルだ」
ニューズウィーク日本版 : TOKYO EYE - スカイツリーは東京衰退のシンボルだ(2010年12月20日(月)09時00分)
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2010/12/post-267.php

<私はここ数ヶ月間日本をにぎわせている「東京スカイツリー万歳」の大合唱に参加できない。完成すれば、東京スカイツリーは中国・広東州や台北のライバルをしのぎ、ドバイのブルジュ・ハリファに次いで世界で2番目に高い人工建造物となる。大したものだと言いたいところだが、「高い建物を建てること=進歩」という考え方は時代遅れだし、今となっては途上国の専売特許だ。私には、東京スカイツリーが日本の進歩どころか衰退のシンボルに思えてならない>。

<スカイツリーのような建造物は東京にはふさわしくないし、とりわけ下町には似合わない。歴史的に見て、東京はパリと同じように平らな都市だ。地震のリスクを考えてあまり高層ビルを建てられなかったおかげで、ほかのアジア地域には見られないようなこじんまりとした「村」の雰囲気を維持してきた。香港やシンガポールなどの都市に比べると、東京には超高層ビルが少ない>。

さすがレジス・アルノー。遠慮のない指摘だが、東京への愛情が感じられる。日本人の記者なら、なかなかここまで書けないだろう。

たしかに、「高さを競う」という発想はなんとも途上国的で、田舎っぽい。

電線・電柱もそうだが、要するに日本人は「景観」の価値をわかっていない、ということなのだと思う。「景観」を壊すことの「コスト」をわかっていないわけだ。そこが田舎っぽい。

「東京衰退のシンボル」というよりも、これが「日本の現実」であり、「日本の文化水準」ということなのだと思う。


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