2012.08.02
必要とされていて、人間にしかできないこと
昨日のエントリ「仕事はなくならない」に対して、はてなブックマークで、<「ニーズ」「需要」がなくならないということと、それが人にしかできないことかどうかは、また別の話だと思う>(hk2mr_huさん)というコメントがあった。これに応答するかたちで、補足したい。

「ニーズ」「需要」がなくならないということと、それが人にしかできないことかどうかは別の話、というのはその通りである。技術やITは、この「ニーズ」「需要」を満たすことを自動化したり、省力化することを目的として発達していく。そこで自動化されたり、省力化された部分は、人間がやらなくてもよくなるので、もちろん「仕事」でなくなる。

よって仕事とは、自動化・省力化しきれない部分、「人間にしかできない部分」から生まれる。ニーズ・需要とは「必要とされているもの」だから、つまり仕事というものは、「必要とされていて、かつ人間にしかできないこと」になる。

よって、もしニーズ・需要の全体が変わらないのであれば、技術やITの発達にともなって、仕事は減る一方だろう。しかし、人類の歴史を見ても、そうはなっていない。

最近、スマホアプリの開発ができるエンジニアの求人をよく見かける。しかし、「スマホアプリの開発」という仕事は、1000年前には存在していなかった。1000年前には、スマホでゲームをする人もいなかったし、スマホを欲しがる人もいなかった。なぜならば、1000年前にはスマホがなかったからだ。スマホがなかったから、スマホに対するニーズ・需要もなかったし、スマホの仕事もなかった。

技術やITの発達というものは、それまで人間がやっていた仕事を自動化・省力化して、仕事を減らす面がある。いっぽうで、あたらしいニーズ・需要を生み出して、仕事を増やすという面もある。いま、スマホの周辺にはたくさんのニーズ・需要があるので、それを満たすための仕事がたくさん生まれている。

仕事はなくならない。ただ、変わっていくだけ>というのは、このような意味だった。技術やITの発達によって、消えていく仕事もあるし、あたらしく生まれる仕事もある。


関連エントリ:
仕事はなくならない
http://mojix.org/2012/08/01/shigoto-nakunaranai
プログラミングは「設計」である
http://mojix.org/2008/07/11/programming_is_design