2012.08.01
仕事はなくならない
技術やITの発達によって「仕事がなくなる」、という主張をときどき見かける。これは正しいだろうか。

いまの私たちが「仕事」だと思っているものが、自動化されたり、省力化されたりする、ということはもちろんある。この意味で「仕事がなくなる」と言っているのなら、その通りかもしれない。

しかし、「仕事」そのものがなくなる、ということはありえない。仕事とは、人間の「ニーズ」「需要」を満たすものだ。「ニーズ」「需要」がなくならない限り、「仕事」はなくならない。

「ニーズ」「需要」には、人間にとって変わらない部分(衣食住など)もあるし、時代によって変わっていく部分もある。さまざまな「ニーズ」「需要」のうち、タダでは手に入らず、お金を払ってもいいから欲しいモノやサービスが「仕事」になる。

技術やITが発達すれば、これまでは面倒だった「仕事」が、自動化されたり、省力化されたりして、「仕事」としての価値が下がる。いっぽう、そのモノやサービスを買う側にとってみれば、それが安く買えるようになって、大助かりだ。しかし、人間の欲求・欲望には限りがない。そこで安くなった分は、他の「ニーズ」「需要」に振り向けられるだけの話だ。

技術やITの発達で、人間の「ニーズ」「需要」が変わっていく。それにあわせて、求められる「仕事」も変わっていく。それだけのことだ。

仕事はなくならない。ただ、変わっていくだけだ。


関連エントリ:
なぜ生産性の上昇やイノベーションが重要なのか
http://mojix.org/2011/05/25/why-innovation