2011.05.25
なぜ生産性の上昇やイノベーションが重要なのか
「いまの日本に足りないのは需要なのだから、供給力を高めてもしょうがない」という考え方がある。いわば「需要強化論者」だ。例えば菅直人首相がそうである

需要強化論者は、供給力をこれ以上高めてもしょうがないと考えているので、生産性の上昇やイノベーションが重要であるとは考えない。

しかし、生産性の上昇やイノベーションはあらゆる意味で重要である。

経済成長とは、つまるところ生産性の上昇である。生産性の上昇とは、「どのくらい働いて、どのくらい富を得られるか」の効率が上がることだ。

「生産性を上昇させても供給が過剰になるだけで、需要が増えないから意味がない」という需要強化論者に限って、日本企業の長時間労働を批判していたりする。しかし、生産性の上昇やイノベーションこそ、長時間労働を減らすものだ。私から見れば、日本企業で長時間労働が常態化しているのは、生産性の上昇やイノベーションがむしろ抑圧されているからだ。

郵便を人間が足で届けていた飛脚の時代と、人間が運ばなくても情報だけを送れるいまのインターネット時代と、どちらが生産性が高いかは明らかだろう。「同じ成果を出すのに、より少ない労働で済む」ことが生産性の上昇であり、イノベーションである。

生産性の上昇やイノベーションがもたらすものは、多くの場合、「時間の短縮」や「省力化」である。なぜこれが重要かというと、結局のところ、人間には寿命があるからだろう。

人間には寿命があり、人生は有限である。この制約が大きく変化しないかぎり、生産性の上昇やイノベーションは重要でありつづける。


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