2012.12.23
カレル・ヴァン・ウォルフレン「日本というシステムの本質は、権力の中心が不在であること」
NEWSポストセブン - ウォルフレン氏 日本というシステムの本質は権力中心が不在(2012.12.20 07:00)
http://www.news-postseven.com/archives/20121220_161547.html

<言葉だけは同じ「政権交代」であっても、日本が変わるかもしれないという3年前の期待感や高揚感は全く感じられない。今回の“政変”が残したのは、やはりこの国は変われないのかという脱力感だった>。

<20年以上にわたる日本研究で知られ、『日本/権力構造の謎』の著者であるK.V.ウォルフレン氏は、この選挙結果に「日本というシステム」の完成を見たと指摘する。復活した官僚独裁主義についてウォルフレン氏が解説する>。

ウォルフレン氏は、次のように述べている。

<今回勝利した安倍自民党は、単にその流れを引き継いだにすぎない。官僚にとっては、野田政権よりさらに扱いやすいだろう。民主党は、官僚とどう付き合っていけばいいかという経験則がなく、それを作り上げる時間もなかったが、自民党は様々な方法やレベルでそれを熟知している。つまり、より官僚と馴れ合いの関係になるということだ>。

<フランスには、「物事は変われば変わるほど、同じであり続ける」ということわざがある。これこそ日本に当てはまる言葉だと、かねて大勢の友人がいっていたが、私は今回の選挙結果を受けて、改めてそのことを確信した>。

<システムとは、国家や法律とは別に、日本人の生き方を、またこの国の支配構造を決定する仕組みのことをいう。日本にはシステムを構成する権力者たちが多数いるが、この国は彼らによって押されたり、引き戻されたり、漂わされることはあっても、率いられることはない。権力の中心が不在であること、それが「日本というシステム」の本質である>。

フランスに「物事は変われば変わるほど、同じであり続ける」ということわざがあり、これが日本にあてはまる、というのはおもしろい。なぜこれが日本にあてはまるかというと、表面的には政権や政治家が変わるが、「日本というシステム」の本質は変わっておらず、それを支えているのが官僚独裁主義だ、ということだろう。

私は日本の政治は少しずつよくなっていると思っているので、ウォルフレン氏ほど悲観はしていない。しかし、自民党圧勝によって官僚独裁主義が復活すること、「日本というシステム」の本質が変わらないことは、その通りだと思う。

官僚独裁主義が生まれる最大の要因は、やはり公務員に「クビがない」ことだろう。私は官僚をワルモノと見なす立場は採らないが、クビにならないという制度のために、国益よりも「省益」を重視する動機が生じやすく、これが無責任な判断につながりやすくなっていることは間違いないと思う。だから、公務員改革が必要なのである。しかし、自民党には公務員改革はできないだろう。


関連:
ウィキペディア - カレル・ヴァン・ウォルフレン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB..

関連エントリ:
選択肢が増えたのは、日本の政治がよくなってきた証拠
http://mojix.org/2012/12/01/nihon-seiji
山崎元「正社員の指名解雇が出来る仕組みが必要」「官僚の解雇も多額の収入も可能に」
http://mojix.org/2009/02/21/yamazaki_hajime_kaiko