2012.12.01
選択肢が増えたのは、日本の政治がよくなってきた証拠
12月4日の総選挙公示が近づいてきた。野田首相が突然解散カードを切ってから、まだ半月しか経っていないのに、もう遠い昔のような気がする。混迷の第三極も、日本未来の党が出てきて合流が進み、構図がはっきりしてきた。各党が政権公約を出し、党首討論会もひらかれたりして、いよいよ総選挙に突入である。

今回はこれだけ多くの党が出てきているにもかかわらず、「入れるところがない」という声をよく聞く。「入れるところがない」理由、その判断の中身は、人によってさまざまだろう。しかし、「入れるところがない」のだとしても、これだけ選択肢が広くなったのは、やはりいいことだと思う。

民主党に政権交代するまでは、ずっと自民党政権だった。自民党の中の派閥争いによって、日本政治が決まっていたのだ。前回の総選挙で民主党が政権交代をなしとげ、第三極のフロンティアであるみんなの党が躍進した。その後、民主党から小沢派が離脱したり、あらたに第三極をリードする日本維新の会が出てきたりして、大きく政界再編が進んだ。今回の総選挙は、いまのところ自民と維新が優勢のようだが、それにしても、前回の民主のような「圧勝」という感じではない。これまでの日本政治に比べれば、勢力分布がだいぶ多様化しつつあるように思う。

この多様化が生じたのは、原発やTPP、消費増税など複数の争点によって、国論が大きく二分されたのも大きいだろう。「二分化された第三極の構図」を見ても、もはや「右か左か」という一次元的な把握では、各党の立ち位置が理解できない。「ノーラン・チャート」のような二次元的把握が必要になっているのだ。

多くの人にとって、「二分化された第三極の構図」でいちばんわかりにくい政党は、おそらくみんなの党だろう。なぜわかりにくいかというと、「右か左か」で把握できないからだ。これはまさに、みんなの党のポジションが自由主義・リバタリアニズムに近く、これが「右翼でも左翼でもない」ことによる。

太陽の党を取り込む前の日本維新の会は、自由主義・リバタリアニズムにかなり親和的で、みんなの党に近いポジションだった。しかし、太陽の党を取り込んで、だいぶ右翼側にシフトしたように見える。かんたんに言えば、自由主義から国家主義へのシフトだ。脱原発が引っ込んで、TPPに保留がついたことが、これを示している。

しかしそれでも、「維新ブーム」によって政治への関心が高まり、大きな政界再編が起きたことは、日本政治にとって大きな前進だろう。これによって、「右か左か」という一次元の軸におさまらない、二次元的なひろがりがはっきり出現した。それを切りひらいた先駆者はみんなの党だが、普及させた立役者は日本維新の会だろう。

今回の総選挙がどうなるにせよ、勢力分布にこれだけの多様性が生じていることは、日本の政治が少しずつよくなってきた証拠だと思う。日本の進路を決めるのは、結局のところ国民である。国民は日本の「施主」なのだ。政治家は国民が選ぶのだから、政治家のレベルは国民のレベルをあらわしている。政党のポジションが多様化していることは、国民の「政治観」が多様化し、ひろがりが出てきたことを示していると思う。


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