2013.01.09
田村厚労相が「追い出し部屋」実態調査へ この茶番はいつまで続くのか
朝日新聞デジタル - 「追い出し部屋」実態調査へ 田村厚労相(2013年1月8日16時1分)
http://www.asahi.com/business/update/0108/TKY201301080074.html

<田村憲久・厚生労働相は8日の閣議後会見で、大手企業で社員から「追い出し部屋」などと呼ばれる部署が相次ぎ設置されている問題について、「実態を把握してみたい」と述べ、調査に乗りだす考えを示した>。

<多忙な他部署への「応援」や自らの転職・出向先探しを仕事とし、「追い出し部屋」などと呼ばれる部署は、パナソニックやNEC、ソニーなどの大手企業グループにある。田村氏は「企業が強制的に意にそぐわない仕事をさせているのなら、実態調査をしないとならない」と語った>。

<「追い出し部屋」をめぐっては、社員側から「社内失業者を集め退職に追いこむのが狙い」と反発する声が出ているが、企業側は「新たな技能を身につけてもらい、新しい担当に再配置するため」(パナソニック)などと主張している>。

企業は「社内失業者」のクビを切りたいのだが、解雇規制があるのでクビにできない。だから、「追い出し部屋」みたいな嫌がらせをして、みずから辞めるように仕向けるしかない。「本当はクビにしたいのだが、日本ではクビにできないので、辞めるように仕向けている」なんて口が裂けても言えないから、「新たな技能を身につけてもらう」みたいなタテマエを繰り返すわけだ。

政治家もその事情はよくわかっているのだが、「本当のこと」は言えないので、「実態を把握してみたい」なんてタテマエを言う。企業をワルモノ扱いして、庶民の味方を気取るわけだ。

企業も政治家も、「本当のこと」を言わない。この茶番は、いつまで続くのだろうか。解雇規制という制度の誤りに国民が気づき、「企業が社員をクビにできるようにしたほうがうまくいく」ということを国民が理解するまで、この茶番は続くだろう。

このテーマについては、政治家はそれほど無知ではない。わかっていないのは国民である。政治家は、わかっていない国民のご機嫌取りをしているに過ぎない。その国民に票を入れてもらわないと、政治家は生きて行けないからだ。

しかし、国民がこのテーマについて理解しない理由の多くは、この記事に典型的なように、マスコミが「本当のこと」を書かないことに起因している。マスコミも政治家と同様、わかっていない国民のご機嫌取りをしているのだ。

ネットではマスコミに比べて、このテーマについては「本当のこと」が書かれているのをよく見かける。個人でブログを書いている人は、政治家やマスコミのように、わかっていない国民のご機嫌取りをする必要がない。だから、本当のことが書けるのだ。


関連エントリ:
解雇規制が正社員を「身分」にしている
http://mojix.org/2012/12/03/kaikokisei-mibun
「かんたんにクビにできる」ようにしたほうがうまくいく
http://mojix.org/2012/10/13/kantan-kubi
解雇規制をツイッターにたとえると、「いったんフォローした人は、リムーブできません」
http://mojix.org/2011/07/27/kaikokisei-twitter