2012.10.13
「かんたんにクビにできる」ようにしたほうがうまくいく
昨日から、次のエントリにアクセスが来ている。

中川秀直「非正規雇用の方を切り捨てて守ろうとしているのは、経営者の利益だけではなく、実は正規雇用の方の雇用であり賃金です」
http://mojix.org/2009/07/20/nakagawa_koyou

3年ほど前のものだが、なぜかいまごろ、はてなブックマークの人気エントリー(政治・経済)に入ったようだ。

中川秀直氏は先日、次の衆院選に出ないことを発表したので、その関係で注目されているのだろうか。

あるいは、話題になった「私はこうして退職を強要された NECリストラ 面談一問一答メモ」あたりがきっかけで、解雇というテーマにまた注目が集まっているのだろうか。

このテーマ(解雇規制)については、私は何度も書いてきているが、あらためて、要点を書いてみたい。

私はこうして退職を強要された」のようなことが起きてしまうのは、日本では「かんたんにクビにできない」からだ。会社側からクビにするのがむずかしいので、自分から辞めると言わせるために、こういうイジメのようなことが起きる。

リストラ対象の社員はかわいそうだが、こんなことをしなければいけない会社もかわいそうだ。どちらも被害者であり、悪いのは国の制度である。

「かんたんにクビにできない」から、「かんたんに採用できない」。よって、雇用が流動しない。これがいまの日本。

「かんたんにクビにできる」ようにすれば、「かんたんに採用できる」。よって、雇用は流動する。これで日本はよくなる。

いまの日本は、雇用が流動しないので、働きの悪い正社員が会社に居座ることができ、働きのいい派遣やアルバイトの待遇がよくならない。働きのいい派遣やアルバイトよりも、働きの悪い正社員のほうが、はるかに待遇がいいのだ。これは会社が悪いのではなく、国の制度自体がそうなっているからだ。

「かんたんにクビにできる」ようにすること(解雇規制の緩和・撤廃)に反対している人は、「かんたんにクビにできる」ようにすると、解雇が増えて、失業が増えると思っている。

実際はその反対だ。「かんたんにクビにできる」ようにすると、たしかに解雇は増えるが、「かんたんに採用できる」ので、それ以上に採用が増えるのだ。

「かんたんにクビにできる」ことに反対する人は、解雇が増える点ばかり見ていて、採用が増える点が見えていない。だから、「かんたんにクビにできない」現状の制度が、いかに採用を減らしているかも見えていない。

自分が会社を経営している視点で考えてみて欲しい。「いったん雇ったら解雇できない」のに、人を雇おうとするだろうか?


関連エントリ:
解雇規制をツイッターにたとえると、「いったんフォローした人は、リムーブできません」
http://mojix.org/2011/07/27/kaikokisei-twitter
解雇規制は雇用を減らしている
http://mojix.org/2010/11/09/kaikokisei-herasu
失敗できない日本
http://mojix.org/2010/03/07/shippai_dekinai