中川秀直「非正規雇用の方を切り捨てて守ろうとしているのは、経営者の利益だけではなく、実は正規雇用の方の雇用であり賃金です」
自民党 衆議院議員 中川秀直 公式サイト - 中川秀直からの回答(2009年1月)
http://nakagawa.temporarydomain.net/answer/?m=200901
Q「今の政治についてのお考えは?人を助けるという政治であってほしいですね。仕事が無くなる、住む場所が無くなると言う現状を見ると、今こそ政治の出番ではないでしょうか?国民のために少しでも灯りが灯る政治に決断が必要ではないでしょうか?きっと、神様は悪いことばかりを与えられることはないでしょう。しかし、国民も努力をすべきだと思いますが、少しでも明るい日本にするために、中川さんはどのようにお考えでしょうか?自民党は貧乏人を殺してしまうのでしょうか?お答え下さい。」(島根県、63歳、女性)
この質問に対して、中川秀直氏は以下のように回答している(抜粋)。
<非正規雇用の方についてのご指摘と思います。非正規雇用の方を切り捨てて守ろうとしているのは、経営者の利益だけではなく、実は正規雇用の方の雇用であり賃金です。つまり、ひとつの家庭の中で、お父さんの雇用と賃金を守るために、お母さんのパートが切られ、新卒の子供が正規雇用につけないという状況が生まれているのだと思います>。
<私はここ数年、正規雇用と非正規雇用の差をなくして、全員が職務給をもとに働くべきだと思っています。この制度への最大の抵抗は「自分は若いときに安月給で働いたのだから、仕事以上の給料をもらう権利が私にはある」と思っている中高年齢の男性正規社員の一部のみなさんです。しかし、それが青年たちの雇用を脅かし、日本社会全体を弱体化していることに思いを寄せていただきたいと思います。一家の家計は、家族全員で分かち合いをしていくべきではないでしょうか>。
政治家が国民に対して、この雇用問題の「真実」、何が問題を生み出しているのかという「構造」を、ここまではっきり説明しているのを私は聞いたことがない。
私のブログでは、この「構造」について何度も書いてきている(解雇規制)。それはこの問題が、政治家にとってもマスコミにとっても一種の「タブー」になっており、一般人がこの問題の「構造」に気づく機会が少ないため、これは私のブログ程度でも書く価値があると思ってのことだ。この議論は、経済学者など一部の識者のあいだでは昔から知られており、最近は経済誌や新書などでも採り上げられるようになってきたが、一般レベルではまだまだ知られていない。
この雇用問題の「構造」がなぜ、政治家とマスコミにとって「タブー」になるかというと、この問題を解決するには雇用・労働に関する規制の緩和・撤廃を進める必要があり、それはいま正社員の人に対して「減給やクビになるリスクを受け入れろ」ということになるからだ。政治家とマスコミにとっては、国民こそが「お客さん」だから、その「お客さん」に対して「減給やクビになるリスクを受け入れろ」とは、口が裂けても言えないわけだ。
私はちょうど先日より、中川氏の著書『官僚国家の崩壊』(2008年)を読みはじめたところで、その見識の高さに驚いていたところだった。そこへ、この回答である(この回答の存在は、池田信夫氏のブログのコメントで知った)。中川氏は、日本に何が必要なのかを「わかっている」だけでなく、こんなふうに一般人の63歳の女性に対しても、「真実をハッキリ言える」政治家なのだ。「わかっている」人はそれなりにいるが、一般人に対してここまで「真実をハッキリ言える」政治家は、なかなかいないだろう。
『官僚国家の崩壊』を読むと、中川氏は「わかっている」人でありながら、その人柄から、これまで裏方にまわりがちだったらしいことがわかる。私もこれまで、中川氏の真価をわかっていなかったわけだが、この本を読んでみて、中川氏は「ポスト小泉」として構造改革路線のリーダーになれる人だろうと確信しつつある。
いま混乱のさなかにある自民党で、中川氏がどういうポジションにいるのか私は知らないが、もし自民党が中川氏をリーダーとして結束し、ふたたび構造改革路線を目指すような動きにでもなれば、また流れが変わってくるかもしれない。日本国民は「保護」が大好きな甘えん坊だが、もはやこの状況において、何の「痛み」も伴わずに国の経済が復活できるとも思っていないだろう。定額給付金に国民の側から反対の声が多かったのも、バラマキよりも抜本的な解決を求める気持ち、問題意識や危機感のあらわれとも言える。
小泉元首相は、決して国民を甘やかさず、むしろ「痛み」を受け入れることを求めたが、それでも人気があった。「国民を甘やかす」政治家ではなく、「国民を説得できる」政治家を、国民のほうもきっと求めている。国民は「説得されたい」のだ。
中川氏は、小泉元首相のようなカリスマ性にはやや欠けるかもしれないが、上記の回答にもあらわれているように、国民目線のやわらかさ、ていねいさがある。『官僚国家の崩壊』では、自らのスキャンダルにも触れており(ウィキペディアの解説など参照)、<私は一度、死ぬはずだった政治家である。それが生きるチャンスを与えられた。そう思えば、怖いものは何もない>と書かれている。サバサバしてどこか超人的(変人的?)だった小泉元首相に比べると、中川氏ははるかに人間臭い感じがするが、それは中川氏本来の気質だけでなく、<一度、死ぬはずだった>ところから復活したことで、政治家としての決意の強さと、「痛み」のわかる優しさを兼ね備えるに至ったのかもしれない。
冒頭の63歳の女性への回答には、中川氏の強さと優しさの両面がよく出ていると思う。「甘やかす」ことは決して「優しさ」ではないことを、中川氏はわかっているのだ。中川氏なら、きっと国民を「説得」できると思う。
関連:
ウィキペディア - 中川秀直
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD..
中川秀直公式サイト
http://www.nakagawahidenao.jp/
中川秀直ブログ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/
講談社 - 中川秀直『官僚国家の崩壊』(2008/05/30)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2147580
http://www.amazon.co.jp/dp/4062147580
<日本の中枢に巣くう「ステルス複合体」とは何か!?自民党元幹事長、政治生命を賭けた書>とあるが、本当にその通りの迫力にみちた本。
関連エントリ:
日本をダメにしたのは誰か
http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji
http://nakagawa.temporarydomain.net/answer/?m=200901
Q「今の政治についてのお考えは?人を助けるという政治であってほしいですね。仕事が無くなる、住む場所が無くなると言う現状を見ると、今こそ政治の出番ではないでしょうか?国民のために少しでも灯りが灯る政治に決断が必要ではないでしょうか?きっと、神様は悪いことばかりを与えられることはないでしょう。しかし、国民も努力をすべきだと思いますが、少しでも明るい日本にするために、中川さんはどのようにお考えでしょうか?自民党は貧乏人を殺してしまうのでしょうか?お答え下さい。」(島根県、63歳、女性)
この質問に対して、中川秀直氏は以下のように回答している(抜粋)。
<非正規雇用の方についてのご指摘と思います。非正規雇用の方を切り捨てて守ろうとしているのは、経営者の利益だけではなく、実は正規雇用の方の雇用であり賃金です。つまり、ひとつの家庭の中で、お父さんの雇用と賃金を守るために、お母さんのパートが切られ、新卒の子供が正規雇用につけないという状況が生まれているのだと思います>。
<私はここ数年、正規雇用と非正規雇用の差をなくして、全員が職務給をもとに働くべきだと思っています。この制度への最大の抵抗は「自分は若いときに安月給で働いたのだから、仕事以上の給料をもらう権利が私にはある」と思っている中高年齢の男性正規社員の一部のみなさんです。しかし、それが青年たちの雇用を脅かし、日本社会全体を弱体化していることに思いを寄せていただきたいと思います。一家の家計は、家族全員で分かち合いをしていくべきではないでしょうか>。
政治家が国民に対して、この雇用問題の「真実」、何が問題を生み出しているのかという「構造」を、ここまではっきり説明しているのを私は聞いたことがない。
私のブログでは、この「構造」について何度も書いてきている(解雇規制)。それはこの問題が、政治家にとってもマスコミにとっても一種の「タブー」になっており、一般人がこの問題の「構造」に気づく機会が少ないため、これは私のブログ程度でも書く価値があると思ってのことだ。この議論は、経済学者など一部の識者のあいだでは昔から知られており、最近は経済誌や新書などでも採り上げられるようになってきたが、一般レベルではまだまだ知られていない。
この雇用問題の「構造」がなぜ、政治家とマスコミにとって「タブー」になるかというと、この問題を解決するには雇用・労働に関する規制の緩和・撤廃を進める必要があり、それはいま正社員の人に対して「減給やクビになるリスクを受け入れろ」ということになるからだ。政治家とマスコミにとっては、国民こそが「お客さん」だから、その「お客さん」に対して「減給やクビになるリスクを受け入れろ」とは、口が裂けても言えないわけだ。
私はちょうど先日より、中川氏の著書『官僚国家の崩壊』(2008年)を読みはじめたところで、その見識の高さに驚いていたところだった。そこへ、この回答である(この回答の存在は、池田信夫氏のブログのコメントで知った)。中川氏は、日本に何が必要なのかを「わかっている」だけでなく、こんなふうに一般人の63歳の女性に対しても、「真実をハッキリ言える」政治家なのだ。「わかっている」人はそれなりにいるが、一般人に対してここまで「真実をハッキリ言える」政治家は、なかなかいないだろう。
『官僚国家の崩壊』を読むと、中川氏は「わかっている」人でありながら、その人柄から、これまで裏方にまわりがちだったらしいことがわかる。私もこれまで、中川氏の真価をわかっていなかったわけだが、この本を読んでみて、中川氏は「ポスト小泉」として構造改革路線のリーダーになれる人だろうと確信しつつある。
いま混乱のさなかにある自民党で、中川氏がどういうポジションにいるのか私は知らないが、もし自民党が中川氏をリーダーとして結束し、ふたたび構造改革路線を目指すような動きにでもなれば、また流れが変わってくるかもしれない。日本国民は「保護」が大好きな甘えん坊だが、もはやこの状況において、何の「痛み」も伴わずに国の経済が復活できるとも思っていないだろう。定額給付金に国民の側から反対の声が多かったのも、バラマキよりも抜本的な解決を求める気持ち、問題意識や危機感のあらわれとも言える。
小泉元首相は、決して国民を甘やかさず、むしろ「痛み」を受け入れることを求めたが、それでも人気があった。「国民を甘やかす」政治家ではなく、「国民を説得できる」政治家を、国民のほうもきっと求めている。国民は「説得されたい」のだ。
中川氏は、小泉元首相のようなカリスマ性にはやや欠けるかもしれないが、上記の回答にもあらわれているように、国民目線のやわらかさ、ていねいさがある。『官僚国家の崩壊』では、自らのスキャンダルにも触れており(ウィキペディアの解説など参照)、<私は一度、死ぬはずだった政治家である。それが生きるチャンスを与えられた。そう思えば、怖いものは何もない>と書かれている。サバサバしてどこか超人的(変人的?)だった小泉元首相に比べると、中川氏ははるかに人間臭い感じがするが、それは中川氏本来の気質だけでなく、<一度、死ぬはずだった>ところから復活したことで、政治家としての決意の強さと、「痛み」のわかる優しさを兼ね備えるに至ったのかもしれない。
冒頭の63歳の女性への回答には、中川氏の強さと優しさの両面がよく出ていると思う。「甘やかす」ことは決して「優しさ」ではないことを、中川氏はわかっているのだ。中川氏なら、きっと国民を「説得」できると思う。
関連:
ウィキペディア - 中川秀直
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD..
中川秀直公式サイト
http://www.nakagawahidenao.jp/
中川秀直ブログ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/
講談社 - 中川秀直『官僚国家の崩壊』(2008/05/30)
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2147580
http://www.amazon.co.jp/dp/4062147580
<日本の中枢に巣くう「ステルス複合体」とは何か!?自民党元幹事長、政治生命を賭けた書>とあるが、本当にその通りの迫力にみちた本。
関連エントリ:
日本をダメにしたのは誰か
http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji