「精神論」より「制度論」を
ニートの海外就職日記 - 入社3年内の離職率35.9%――指導が必要なのは学生ではなくクソ会社w。
http://kusoshigoto.blog121.fc2.com/blog-entry-273.html
<おいおい、離職率の高さは単にクソブラック会社を野放しにして好き放題に搾取させてるからだろうが!いかにも学生の職業・勤労観に問題があるような言い方だけど、一番問題があるのは嘘だらけの求人広告で人を集めて、いざ入ってみたらクソブラックのくせに「ああ、あの求人広告は建前」とかホザイてるクソ会社だろ? しかも「社会人wなら仕事を優先させるのが当たり前」みたいな社畜の価値観を押し付け、サビ残、休日返上でろくに休みも与えず、クソ労働環境で理不尽だらけの我慢大会を課せば3年も続く方が奇跡だよ。まあ、この35・9%の多くはキャリアアップみたいなポジティブな理由でヤメたんじゃなくて、我慢の限界まで追い込まれてヤメたり、心身ともボロボロになって逃げるようにヤメたってのは想像に難くないよな>。
「入社3年内の離職率35.9%」は、ごく普通だろう。別に<クソブラック会社>じゃなくたって、3年以内に会社を変わる人が3分の1いても全く不思議じゃない。
クソ仕事さんは、問題提起の姿勢自体はいいと思うのだが、「日本の会社は全部ブラック会社だ」と言いかねない勢いで、問題の原因をほぼすべて経営者の側に寄せてしまっている感じだ。これは結局、「企業をもっと規制しろ」ということになりかねず、これはいっそう雇用の流動性を下げて問題を深めてしまうので、私としては賛成できない考え方だ。
社員の側はつねに、会社をいつでも辞めていい自由がある。いつでも辞めていいのに辞めないのなら、その現状を自ら受け入れていることになる。自ら「選んでいる」のだ。自ら「選んでいる」のに、その労働環境や待遇をクソだと言い続けるのは、飲み屋でグチっている人と変わらない。
日本の会社がオーバーワーク気味なのはその通りだと思うのだが、それは単に経営者が悪いという側面だけでなく、日本の強い規制と高い税金によって、会社側も「そうせざるをえない」側面や、社員側も転職がむずかしいために、「そうせざるをえない」側面もある。これを全部経営者のせいにしてしまうのは、一種の「精神論」なのであって、それは「すぐに辞めてしまう若者は根性なしだ」と決めつけるような「精神論」と同じくらい、粗雑でピント外れな議論だと思う。
「精神論」をいくらやっていても問題は解決できない。必要なのは「制度論」なのだ。
もしクソ仕事さんが、「日本の会社は徹底的に規制せよ」というのであれば、それは「制度論」になる。私のほうは、「規制をなくせ」という「制度論」なのだから、完全に反対になるが、それはそれで議論になる。
「経営者が悪い」「社員が悪い」という話は、大体「精神論」なのだ。なぜならば、経営者も社員も民間人だから、他者に「強制」ができないからだ。これに対して、政府は「強制」できる唯一の存在で、規制と税金をいくらでも民間に押し付けることができる。だから、その「強制」の内容が妥当なのかどうかが、きわめて重要になる。
「制度」にもいろいろあるが、政府が「強制」する規制と税金こそ、最大にして最強の制度だ。その規制と税金がどのようなものであるかによって、人や会社の行動は大きく変わるので、市場や経済も大きく変わる。現状の規制と税金が、いまの日本にどのような影響を与えているのか、規制と税金をどのようにすれば日本をもっと良くできるのか、という「制度論」こそが重要なのであって、それに比べれば、「経営者はこうすべき」「社員はこうすべき」といった「精神論」は、真に問題解決を志向していない、ただの説教かグチに過ぎない。
関連エントリ:
鶴 光太郎「日本の労働市場制度改革」
http://mojix.org/2009/07/12/tsuru_roudou_sijou
なぜ日本ではブラック会社が淘汰されないのか 日本は雇用の流動性が低いから、労働者の価値が低い
http://mojix.org/2009/07/09/why_black_company
マッチョもいろいろ 精神論では何も解決しない
http://mojix.org/2009/02/17/macho_iroiro
企業による「搾取」は可能なのか?
http://mojix.org/2009/01/07/kigyou_sakushu
http://kusoshigoto.blog121.fc2.com/blog-entry-273.html
<おいおい、離職率の高さは単にクソブラック会社を野放しにして好き放題に搾取させてるからだろうが!いかにも学生の職業・勤労観に問題があるような言い方だけど、一番問題があるのは嘘だらけの求人広告で人を集めて、いざ入ってみたらクソブラックのくせに「ああ、あの求人広告は建前」とかホザイてるクソ会社だろ? しかも「社会人wなら仕事を優先させるのが当たり前」みたいな社畜の価値観を押し付け、サビ残、休日返上でろくに休みも与えず、クソ労働環境で理不尽だらけの我慢大会を課せば3年も続く方が奇跡だよ。まあ、この35・9%の多くはキャリアアップみたいなポジティブな理由でヤメたんじゃなくて、我慢の限界まで追い込まれてヤメたり、心身ともボロボロになって逃げるようにヤメたってのは想像に難くないよな>。
「入社3年内の離職率35.9%」は、ごく普通だろう。別に<クソブラック会社>じゃなくたって、3年以内に会社を変わる人が3分の1いても全く不思議じゃない。
クソ仕事さんは、問題提起の姿勢自体はいいと思うのだが、「日本の会社は全部ブラック会社だ」と言いかねない勢いで、問題の原因をほぼすべて経営者の側に寄せてしまっている感じだ。これは結局、「企業をもっと規制しろ」ということになりかねず、これはいっそう雇用の流動性を下げて問題を深めてしまうので、私としては賛成できない考え方だ。
社員の側はつねに、会社をいつでも辞めていい自由がある。いつでも辞めていいのに辞めないのなら、その現状を自ら受け入れていることになる。自ら「選んでいる」のだ。自ら「選んでいる」のに、その労働環境や待遇をクソだと言い続けるのは、飲み屋でグチっている人と変わらない。
日本の会社がオーバーワーク気味なのはその通りだと思うのだが、それは単に経営者が悪いという側面だけでなく、日本の強い規制と高い税金によって、会社側も「そうせざるをえない」側面や、社員側も転職がむずかしいために、「そうせざるをえない」側面もある。これを全部経営者のせいにしてしまうのは、一種の「精神論」なのであって、それは「すぐに辞めてしまう若者は根性なしだ」と決めつけるような「精神論」と同じくらい、粗雑でピント外れな議論だと思う。
「精神論」をいくらやっていても問題は解決できない。必要なのは「制度論」なのだ。
もしクソ仕事さんが、「日本の会社は徹底的に規制せよ」というのであれば、それは「制度論」になる。私のほうは、「規制をなくせ」という「制度論」なのだから、完全に反対になるが、それはそれで議論になる。
「経営者が悪い」「社員が悪い」という話は、大体「精神論」なのだ。なぜならば、経営者も社員も民間人だから、他者に「強制」ができないからだ。これに対して、政府は「強制」できる唯一の存在で、規制と税金をいくらでも民間に押し付けることができる。だから、その「強制」の内容が妥当なのかどうかが、きわめて重要になる。
「制度」にもいろいろあるが、政府が「強制」する規制と税金こそ、最大にして最強の制度だ。その規制と税金がどのようなものであるかによって、人や会社の行動は大きく変わるので、市場や経済も大きく変わる。現状の規制と税金が、いまの日本にどのような影響を与えているのか、規制と税金をどのようにすれば日本をもっと良くできるのか、という「制度論」こそが重要なのであって、それに比べれば、「経営者はこうすべき」「社員はこうすべき」といった「精神論」は、真に問題解決を志向していない、ただの説教かグチに過ぎない。
関連エントリ:
鶴 光太郎「日本の労働市場制度改革」
http://mojix.org/2009/07/12/tsuru_roudou_sijou
なぜ日本ではブラック会社が淘汰されないのか 日本は雇用の流動性が低いから、労働者の価値が低い
http://mojix.org/2009/07/09/why_black_company
マッチョもいろいろ 精神論では何も解決しない
http://mojix.org/2009/02/17/macho_iroiro
企業による「搾取」は可能なのか?
http://mojix.org/2009/01/07/kigyou_sakushu