2013.01.16
消費税の軽減税率はインチキだ 低所得者対策は「負の所得税」(給付付き税額控除)がいい
山内康一の「蟷螂(とうろう)の斧」 - 一見良さそうな軽減税率(2013/1/15)
http://yamauchi-koichi.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-8b89.html

<自公の税調で軽減税率導入の議論が進んでいます。以前から私はこのブログでも主張してきましたが、消費税の軽減税率の導入には反対です>。

<業界や生産者は、自分たちの製品を何とかして、軽減税率の対象に入れてもらおうと必死で陳情し、政治家や官僚に取り入ろうと努力するでしょう>。

<族議員と役所にとっては、新たな利権です。特定産業への軽減税率は、補助金以上の権限です。新たな利益誘導政治の強力な武器となります>。

<さらに低所得者対策としては、極めて非効率です。食料品は高所得者も低所得者も購入するものですが、高所得者の方が出費額は多くメリットが大きいです>。

<だったら低所得者だけを狙い撃ちにした給付制度が、どう考えても効率的で望ましい選択肢になります>。

食品や生活必需品の消費税を安くする「軽減税率」がなぜダメなのか、わかりやすく説明されている。

消費税の軽減税率は、一見すると、低所得者にやさしい政策のように見える。しかし実際は、それは役所や族議員の裁量を増やし、それが既得権になって、役所や族議員の影響力を増すのに使われる。いっぽう、そこで減税された分はけっきょく他で増税されるので、トータルで減税になるわけでもない。さらに、品目で消費税が違えば、事務の負担も増え、これも大きな「コスト」になる。

<軽減税率は、一見良さそう(実は悪い)政策の典型です。こういうインチキな政策にだまされないようにしなくては、結局は国民(納税者)が困ることになります>。

まったくその通りだろう。「低所得者のため」と耳あたりのいいことを言いながら、実際はそうではないというのが、タチが悪い。まさにインチキである。

<覚えておきましょう。実際のところ「軽減税率は族議員と役所のため」であって、真に低所得者のためになるのは「給付付き税額控除」です>。

給付付き税額控除」とは、要するに「負の所得税」である。所得の少ない人は、それに応じてお金をもらえるというもので、ベーシックインカムに近い。

低所得者対策は、消費税でやるのではなく、「負の所得税」(給付付き税額控除)によって、所得税で調整すべきなのだ。これがいちばんフェアであり、かつムダがなく、効果的である。


関連エントリ:
消費増税法が成立 消費税率は14年4月に8%、15年10月に10%へ
http://mojix.org/2012/08/11/shouhi-zouzei
消費税を上げて法人税を下げ、再配分は所得税で調整すべし
http://mojix.org/2010/07/02/zeisei