2013.02.21
「世の中には2種類の人間がいる」 「ポイントは3つあります」
「世の中には2種類の人間がいる」という言いまわしがある。

まず、「世の中には2種類の人間がいる」と最初に言う。これで、「おっ、どういう2種類なんだろう?」という興味をかきたてる。そのあとで、「ナントカな人間と、ナントカでない人間だ」と言う。「ナントカ」の部分には、いろいろなものが入る。

これだけのレトリックなのだが、これをやると、なんとなく言葉に重みが出る。例えば、

「世の中には2種類の人間がいる。勇気のある人間と、勇気のない人間だ」

「世の中には2種類の人間がいる。ロックがわかる人間と、ロックがわからない人間だ」

といったものだ。実際はたいしたことを言っていないのだが、なんか言葉に重みがつく。

プレゼンなどでよく使う、「ポイントは3つあります」というやつも、わりとこれに似ている。「ポイントは3つあります」と言ってから、何か3つ言うと、それがたいしたことない内容でも、重要なポイントに思えてくるのだ。

「世の中には2種類の人間がいる」とか、「ポイントは3つあります」というレトリックには、

- 「これから何かを言うぞ」と予告する
- 「2種類」「3つ」というふうに、少ない数を言う

という点が共通している。注意を引きつけて、これから2つとか3つの箇条書きが出てきますよ、と予告する。これで、聞いている人は、心のなかに「箇条書きの場所」を準備する。「2種類」や「3つ」というふうに少ない数なので、それほど大きな負担も感じない。

予告されたあと、その内容が明かされ、列挙される。聞いている人は、準備した「箇条書きの場所」に、その中身を詰めていく。これで、「おお、中身はこれだったのか」という「解決感」みたいなものが生じる。

言いたい内容を、単なる散文的な流れではなく、箇条書きのような構造・フォーマットに落とし込む。これによって、それを理解するためのコストが小さくなり、聞いている人は「わかりやすい」と感じる。同じ内容でも「言葉に重みが出る」のは、このためだろう。


関連エントリ:
プレゼンパターン
http://mojix.org/2003/10/30/231320