2013.04.04
エイリアス住所
最近はネットの通販も普及して、住所を書く機会がますます増えている。しかし、あたらしい店で通販を申し込むたびに、リアルな住所を書かなければならないというのは、個人情報保護の観点からいうと、あまりうまい方法ではない。

先日DNSについて少し書いたが、もし住所にもDNSのようなものがあれば、これをもっとうまい仕組みにできそうに思う。通販などの申し込み時には、リアルな住所を書くのではなく、「エイリアス住所」みたいなものを書く、という仕組みだ。

「エイリアス住所」は、例えば宅配業者のサービスとして考えられる。通販などを利用するユーザは、あらかじめこの宅配業者の申し込み画面で、自分の住所を書いた上で、「エイリアス住所」を取得しておく。取得したエイリアス住所を、例えば「abcde12345」としよう。

これで、もし自分が利用する通販サイトが「エイリアス住所」に対応していれば、申し込み時にリアルな住所を書く必要がなく、「abcde12345」とだけ書けばいい。その通販業者は、発送する商品とともに、そのエイリアス住所を宅配業者に渡す。

商品を受け取った宅配業者は、エイリアス住所のデータベースをもっているから、「abcde12345」というエイリアス住所を、リアルな住所に変換できる。こうして、通販サイトの利用者は、自分のリアルな住所を通販業者に知らせることなく、商品を受け取ることができるのだ。無数にある通販サイトに比べれば、宅配業者は少数しかなく、かつ大企業なので、個人情報保護の体制も整っているだろう。

悪意がなくても、ちょっとしたミスや無知によって、個人情報はかんたんに流出してしまう。間違いをしないように注意したり、セキュリティの体制をととのえることも重要だが、もっとも効果的なのは、流出したら困るような個人情報をそもそも持たないことである。

「エイリアス住所」のような仕組みが普及すれば、通販の利用者が住所を書かなくて済むだけでなく、通販サイトの側も、住所という個人情報を持たなくて済む。ネットワークの上でも、リアルな住所のデータがほとんど流れなくなるし、通販の箱に貼られるラベルにも、住所があまり書かれなくなる。リアルな住所のラベルが貼られるのは、おそらくその住所にいちばん近い、宅配業者の配送センターになるのではないか。

個人情報はどこで書かれ、どこを流れ、どこで保管され、どこで複製されるか。個人情報を守るには、それを扱う人の意識を高めるだけでなく、そのようなポイントを具体的に減らすことが効果的だろう。