2013.04.14
「なので」の接続詞用法
最近、「なので」を文頭に置き、接続詞として使う用法をよく見かけるようになった。調べてみると、Q&Aサイトなどにこの話題が出ていた。

教えて!goo - 「なので」の使い方に違和感を感じます。(2005/09/13)
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1646201.html

<最近、テレビなどで若い人が「なので」という言葉をよく使うように思います。
意味としては「だから」その丁寧語の「ですから」と同じだと思うのですが、私の感覚では「なので」は文章の頭にはつかないものです。
「雨なので自転車でなくバスで来た」という使い方をしませんか?
「雨が降っていました。なので自転車でなくバスで来ました。」という感じの使い方をとても頻繁に耳にするような気がします>。

Yahoo!知恵袋 - 先生に、「なので」は話し言葉的接続詞だとレポートのコメントに書かれました。(2009/5/23)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1026482115

<先生に、「なので」は話し言葉的接続詞だとレポートのコメントに書かれました。
話し言葉的接続詞と書き言葉的接続詞の違いを教えてください>。

発言小町 - 接続詞で「なので」って正しいですか?(2010年11月12日)
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2010/1112/363299.htm

<小学6年生の娘が
「全校集会で発表する原稿を暗記したから
間違ってないか聞いて」
というので、原稿を目で追いながら聞いていました>。

<途中で
「私は~だと思います。なので~~する方がいいと思いました」
という文章が出てきたので
「なのでってのはおかしくない?」
と言うと
「おかしくない、みんな使ってる」
と言われました>。

この3つの質問のうち、最初のものは2005年なので、この「なので」の用法は、おそらく10年くらい前にはすでにあったようだ。

回答を総合すると、文法的には間違いだが、口語的用法としてはかなり使われている、といったところ。

テレビ局のサイトで、この「なので」の用法を解説しているものがあった。

テレビ朝日 アナウンサーズ - 「なので」の正しい使い方 Reported by 田原浩史
http://www.tv-asahi.co.jp/announcer/nihongo/labo/lab_012/body.html

<最近視聴者の方からアナウンサーの言葉遣いについてのご意見が多く寄せられています。その中に、気になるご指摘があるので取り上げました>。

<それは、「~なので」のという言葉の使い方です。本来は文の途中で理由などを説明するときに使います。しかし、その「なので」を文の途中ではなく、文頭に使用するケースが非常に多く見受けられ、アナウンサーの言葉遣いとしては、とても違和感があります。
視聴者の方も同様に感じているようです。ご意見を沢山いただきました>。

<例)
「こんどみんなで食事に行くけど、一緒にどう?」
「そうですねえ。私最近とても忙しいんです。なので、ちょっと予定が立てにくいんです」>

<本来「なので」は断定の助動詞「だ」の連体形「な」+理由や原因を表す接続助詞「ので」によって構成されるため、他の言葉と結びつく言葉なのです。独立した接続詞でありません。ですから、文頭に「なので」を用いて文章を始めるのは、文法的に間違いです>。

テレビ朝日では、文頭の「なので」は文法的に間違いだ、と多くのアナウンサーが認識しているようだ。しかし、実際には多く使われていて、視聴者から意見がたくさん来ているとのこと。

NHK放送文化研究所 - 最近の若い人のことば(2009.02.01)
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/uraomote/099.html

<接続詞で気になるのは、「なので」を文頭接続詞として使う例が多く見られます。
「私はファストフード店でアルバイトをしています。なので、人と話すのは平気です。」「私は小さいころから走るのが速かったです。なので、陸上部に入りました。」
などという使い方です>。

<こういうように文頭接続詞として使われると、60代以上の人の中には「なんかおかしいぞ」と思うかたがいらっしゃるようです>。

<たしかに、最近よく聞きますし、筆者も抵抗感を持ちます。そこで辞書を見ると、三省堂国語辞典は用例として「準備万端整った。なので心配していない。」を載せています。接続詞として。「前を受け、そうであるから、だから」という説明です。
『新明解国語辞典』も、2番目の意味として接続詞で扱い、「前に述べたことと、それを原因・理由として導かれる帰結とを結びつけることを表す。『外で食事は済ませてきた。なので、今は何も欲しくない』」とかなり詳しく記述しています。
ほかの辞書を見ると項目として「なので」を項目にしているものは少なく、『広辞苑』は掲載がありません。『大辞林』は、連語として扱い、接続詞としては認めていません。
古くは、形容動詞になり得る名詞に「な」と「ので」という助辞が付いたと解することが主流でした。
平成14年以降の辞書には接続詞として認めるものが出てきたようです>。

この解説は詳しい。最近の辞書では、この「なので」の用法をのせているものもあるようだ。

これらをぜんぶまとめると、文頭の「なので」は文法的には間違いだが、それ以外にうまい言い方がないので、広まっているということのようだ。「だから」だとちょっとニュアンスが強すぎるし、かといって、「よって」や「したがって」では、話し言葉では使いにくい。「なので」がいちばん自然だ、ということのようだ。


関連エントリ:
「重版出来」は「じゅうはんでき」?
http://mojix.org/2013/03/22/juuhan-deki
「真逆(まぎゃく)」は日本語の進化か、退化か
http://mojix.org/2012/09/10/magyaku