2005.10.03
はてなは 「ブランド」 になった
~大ブロ式~ : 「はてな=ネットのテーマパーク」説
http://d.hatena.ne.jp/santaro_y/20051001/p1

はてなという会社について、岡田斗司夫 『ぼくたちの洗脳社会』の議論を引きながら考察している。はてなはディズニーランドのような<「洗脳力」のある企業>であり、ネット上のテーマパークみたいなものだ、としている。

<次々に打ち出されるサービスとはアトラクションであり、ディズニーランドが常に工事中で「永遠に完成しないテーマパーク」であるようにはてなも常に新しいサービスや仕様や不具合を直し続ける永遠に完成しないネット上のテーマパーク、なんじゃないかなと>。

はてなが「テーマパーク」だ、というメタファーは面白い。「サイト」よりも大きくて、どんどん面白いものが付け加わっていく感じが出ている。永遠に工事中(ベータ)というのも、まさにWeb 2.0な会社の特徴だ。なお個人的には、はてなはディズニーランドというよりは、旭山動物園に近い(?)イメージがある。

私は『ぼくたちの洗脳社会』という本を読んでいないが、ここに引用されている部分を見る限り、かなり面白い本のようだ。近いうちに読んでみたい。

まだその本を読んでいないのでわからないが、ここでの「洗脳」という言葉はポジティヴな意味で使われているように感じる。しかし、一般的には「洗脳」という言葉にはネガティヴなイメージも含まれるので、「洗脳」というコンセプトを使い続けると、(「ハッカー」という言葉のように)誤解も生じやすい気がする。

ここでの「洗脳」は、普通の言い方では、「イメージ」や「ブランド」の力、「ブランド価値」みたいなものだろう。「マインド浸透力」と言ってもいいかもしれない。「はてなは洗脳力のある企業だ」、なんて言うとかなりいかがわしい感じだが、普通に言えば、はてなは「ブランド」になった、ということだと思う。

そして、ブランドとかカリスマとかいうものは個性が強いので、ここでの議論にもあるように、どこかしら宗教的・カルト的な色合いを帯びる部分もある。例えばナイキやアップルなどもそういう傾向のある企業だと思うが、ファンや取り巻きがホットなので、外側から醒めた目で見ると、うさんくさいようにも見えてしまう。

個性がブランド化しており、熱狂的なファンがいるというのは、企業としては理想的な姿だろう。ミュージシャンならいざ知らず、ビジネスをおこなう企業が熱狂を生み出すなんて、普通まずありえない。「熱狂を生み出す企業」は、あらゆる企業が目指すべき姿ですらあると思う。企業として問題のあるふるまいをしているなら別だが、見事なサービスによって「カルト的」な熱狂を生み出しているなら、それは文句なしに素晴らしいではないか。

楽しみやサービスを得るには、たいていお金がかかるものだが、逆にお金を払ったからといって、満足できる楽しみやサービスが得られるとは限らない。ましてや、熱狂できるほどの「何か」は、お金で取引できるようなレベルではなく、もっと特別なレベルにある。お金では買えないから「特別」なのだ。

その特別なレベルをいつも見せてくれる、そのマジックを持っている企業が、「ブランド」になれるのだと思う。

ブランドとはいつも、「特別」なものだ。
はてなという会社はたしかに、「特別」な会社になったと思う。

関連エントリ :
PICSYの鈴木健がはてなの近藤淳也を「平成の松下幸之助」と評している
http://mojix.org/2005/08/22/143215