2005.12.06
「みんなと同じことをする」人しかいない国
asahi.com - 「バブルのような雰囲気」 株価急上昇で奥田経団連会長
http://www.asahi.com/business/update/1205/103.html

<日本経団連の奥田碩会長は5日の記者会見で、東京株式市場で株価が急上昇していることについて「日本全体がバブルの時期のような雰囲気になっているのではないかと思う。株価が上がることに乗り遅れるのではないか、という焦燥感から買いが買いをよんでいるような状況だ」と述べ、株価が経済の実態以上に上昇しているとの警戒感を示した。
 奥田会長は、雑誌やテレビなどで株式投資をあおる記事や番組などが最近増えていることも指摘し、「カネ目当ての国になるのではないかと思う」と憂慮を示した。そのうえで、「二度と前回のバブルの轍(てつ)を踏まないように日本人として考えなければならない」と警鐘を鳴らした>。

「バブルのような雰囲気」、私も同感だ。
実体経済は、こんなに早く伸びるわけがない。
そんなに株が割安で、そんなに実体価値が過小評価されているのだろうか。

違うと思う。いま株を買う人の大半は、株が上がりそうだから買っているだけだろう。
実体価値に対して株が割安だと判断して買っている人なんて、ほとんどいないのでは。
ちゃんと判断している人は、もっと前から買っているはずで、「いま」買う理由がない。

「みんなと同じことをする」人しかいない国は、危ない。
中心が腐った場合、その腐敗を食い止める力がなく、腐敗がひろがる一方だからだ。
バブルも、欠陥マンションも、そしてファシズムも、そのようにしてひろがる。
腐敗した権威や確信犯はもちろん悪いが、それをひろげていくのは「みんなと同じことをする」人だ。

働かない高齢者の割合が増え、若者も無気力化しているこの日本では、実体価値を作れる人はますます減っているはずだ。どうやって中国やインドと競争していくのか、日本の競争力を真面目に考えるべき局面だというのに、何か勘違いして、マネーゲームをやっている気がする。

株が上がっているというよりも、円の価値がなくなっているだけではないのか。


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