2008.10.29
わたしたちはつねに「インセンティブの場」を動き回っている
ウィキペディア - インセンティブ (経済学)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4..

<インセンティブ(英:incentive)とは、経済学では、費用と便益を比較する人々の意思決定や行動を変化させるような誘因をいう>。

経済の解説などでよく聞く「インセンティブ」という概念。
このウィキペディアのページは簡潔にまとまっていて、具体例もあってわかりやすい。

<所得分配の平等は、一般にはインセンティブを減少させ、経済全体のアウトプット(産出量)を減少させる。これをインセンティブ・平等のトレードオフという。たとえば限界効用逓減の法則に基づく功利主義では所得再分配を肯定するが、所得の完全平等は否定される。これはインセンティブの減少による経済全体のアウトプットの減少を避けるためである>。

平等に分配してしまうと、できる人の取り分は過少になり、できない人の取り分は過大になる。できる人はやる気をなくし、できない人は甘えるので、どちらも生産性が下がる。給料が年功序列になっている会社などは、これがあてはまるかもしれない。

<ある経済主体の活動がほかの経済主体に市場を通さずに与える影響を外部性という。たとえば企業の発生させた公害のような負の外部性に対しては、課税(ピグー税)によって負のインセンティブを与えることで、市場メカニズムを活用して外部性を解消することは内部化という>。

人や企業が公益に反する行為をしていて、それをやめさせたり減らしたい場合、法や規制で禁止するのではなく、許すけれども課税する(ピグー税)という方法がある。公益に反する行為が「負の外部性」で、それをコストという負のインセンティブで市場的に解決するので、市場に「内部化」される。

<所有者が自由にその財産を使ったり売ることのできる所有権は、その所有者に自己の財産を維持・管理するインセンティブ(利潤動機)を与える。これに対して公共部門では、このようなインセンティブは機能しない。そのため、たとえば公営住宅の管理者は、民間の住宅の所有者と同等のインセンティブは持たないものと考えられる>。

人間は自分のものでなければ、あまり大切にしない。税金の無駄使いなどはまさにこれだろう。

<市場における競争は、それに直面する企業に対して効率性を高めるインセンティブを与える。これに対して価格決定権の獲得に伴って生じる独占利潤は、競争を回避するインセンティブを企業に与える。このとき、競争下におけるより高い価格でより少ない量が供給されることになる>。

<公営企業は、少なくとも競争に直面しない場合には、民間企業に比べて非効率になるものと考えられる。ただし民間企業においても、ことに大企業にあっては、公営企業と同様の官僚主義の問題が存在する>。

独占的な地位にあれば、競争の必要がないので、その地位にあぐらをかき、努力しなくなる。つねに競争という「風通し」がないと、腐敗していく。

人間の経済行動はつねに、費用と便益(ソンかトクか)の判断に基づいておこなわれている。わたしたちはつねに「インセンティブの場」の中にいて、何がトクで何がソンかを瞬時に計算しながら、正のインセンティブを追いかけ、負のインセンティブから逃げているのだ。


関連エントリ:
フェアな競争こそが、価値と生産性を引き出す
http://mojix.org/2008/10/18/fair_competition
効用、限界効用、ゴッセンの法則、パレート改善
http://mojix.org/2008/05/01/utility_gossen_pareto