升永英俊弁護士「あなたの選挙権は、一票未満の価値しかありません」「日本は民主主義国家ではない」
朝日新聞グローブ - 一票の格差をなくし、日本を民主主義国家に変える「簡単な方法」
升永英俊 Hidetoshi Masunaga 弁護士
http://globe.asahi.com/meetsjapan/090525/01_01.html
青色LED訴訟などで知られる升永英俊弁護士が、「一票の格差」問題について解説した記事。素晴らしい内容だ。
<議論を単純化して、日本の人口を100人、うち地方が45人、都市は55人としよう。
地方の有権者は1人1票、都市は1人0.8票を持つとする。すると地方は計45票、都市は計44票になる。1票が1人の国会議員を意味し、議員総数を89人とすると、地方住民は45人の議員を、都市住民は44人の議員を選出することになる。
つまり、全有権者の過半数に達しない地方の有権者が選んだ議員が、国会で多数を占めることになる。
国会での多数決は、有権者のレベルでは「少数決」だということになる。
民主主義とは、有権者のレベルでの多数決で立法され、日本では首相が決まることである。とすると、有権者レベルの少数決で立法をし、行政府の長(首相)を決定している日本は、民主主義国家ではない>。
まったくその通りだと思う。「一票の格差」問題がここまで重要で根源的な問題だったとは、恥ずかしながらこれまで気づかなかった。
記事中には、<実際は、衆院議員1名を選出する高知3区と東京6区の有権者の数には、1対2以上の差があります>とあり、この「一票の格差」問題を解決するには、総選挙の際におこなわれる国民審査(最高裁判所裁判官を罷免するかどうかを国民が審査する制度)において、国民が意識的に票を投じることで最高裁を動かすしかない、といった旨の解説がある。
升永英俊弁護士のブログにも、この記事と同趣旨のエントリがあり、「一人一票を実現しよう!」準備会HPには、次のように書かれている。
<あなたの選挙権は、一票未満の価値しかありません。それでいいですか?>
<民主主義とは、有権者のレベルでの多数決によって、立法し、首相を選ぶことです。
ところが、日本では、国会議員の過半数が、
投票した有権者の少数の人々によって選出されています。
よって、日本は民主主義国家とは言えません>。
日経新聞朝刊(5/25)掲載記事のPDFも置かれており、升永弁護士は次のように語っている。
<自分の選挙権が一票ではなく、〇・八票とか〇・五票の価値しかないと知った多くの国民が、それを是認する裁判官を信任するとは思えない>。
「一票の格差を考える会」の「一票の格差の増大」というページによると、2007年現在で、衆議院議員選挙区における一票の格差が2以上の選挙区数は40もあり、<大都市圏を中心に小選挙区での一票の格差は年々、ますます広がってきている傾向が読み取れます>とある。格差の詳細な解説が「全国「一票の格差」一覧表」にある。
高齢化が進む日本では、ただでさえ高齢者に比べて若年者の声が政治に反映されにくい上に、一票の格差によって大都市圏が不利になっているのであれば、大都市圏の若年者というのは2重に不利な状況に置かれていることになる。
国会議員の当落を判定する選挙において、大きな一票の格差があるということは、その選挙は十分にフェアであるとは言えないだろう(「一票の格差」ページによると、日本のように2倍以上の格差がある先進国はあまりないようだ)。その選挙で選ばれた国会議員が国の政治決定権を持つのだから、「日本は民主主義国家ではない」と言っても確かに間違いではないと思う。
いい政治家を育てることも重要だが、この「一票の格差」問題や、合理性を欠いた公職選挙法(なぜ迷惑なだけの選挙カーがOKで、ネットは使えないのか?)など、選挙という政治家の選出プロセスにも注意を払い、声を上げていく必要がありそうだ。
関連:
ウィキペディア - 一票の格差
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80..
ウィキペディア - 最高裁判所裁判官国民審査
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80..
升永英俊ブログ - 「一人一票」を実現しよう!
http://blg.hmasunaga.com/main/
経済同友会 一票の格差是正ウェッブサイト
http://www.doyukai.or.jp/kakusa/
一票の格差を考える会
http://www.ne.jp/asahi/ippyou/kakusa/
升永英俊 Hidetoshi Masunaga 弁護士
http://globe.asahi.com/meetsjapan/090525/01_01.html
青色LED訴訟などで知られる升永英俊弁護士が、「一票の格差」問題について解説した記事。素晴らしい内容だ。
<議論を単純化して、日本の人口を100人、うち地方が45人、都市は55人としよう。
地方の有権者は1人1票、都市は1人0.8票を持つとする。すると地方は計45票、都市は計44票になる。1票が1人の国会議員を意味し、議員総数を89人とすると、地方住民は45人の議員を、都市住民は44人の議員を選出することになる。
つまり、全有権者の過半数に達しない地方の有権者が選んだ議員が、国会で多数を占めることになる。
国会での多数決は、有権者のレベルでは「少数決」だということになる。
民主主義とは、有権者のレベルでの多数決で立法され、日本では首相が決まることである。とすると、有権者レベルの少数決で立法をし、行政府の長(首相)を決定している日本は、民主主義国家ではない>。
まったくその通りだと思う。「一票の格差」問題がここまで重要で根源的な問題だったとは、恥ずかしながらこれまで気づかなかった。
記事中には、<実際は、衆院議員1名を選出する高知3区と東京6区の有権者の数には、1対2以上の差があります>とあり、この「一票の格差」問題を解決するには、総選挙の際におこなわれる国民審査(最高裁判所裁判官を罷免するかどうかを国民が審査する制度)において、国民が意識的に票を投じることで最高裁を動かすしかない、といった旨の解説がある。
升永英俊弁護士のブログにも、この記事と同趣旨のエントリがあり、「一人一票を実現しよう!」準備会HPには、次のように書かれている。
<あなたの選挙権は、一票未満の価値しかありません。それでいいですか?>
<民主主義とは、有権者のレベルでの多数決によって、立法し、首相を選ぶことです。
ところが、日本では、国会議員の過半数が、
投票した有権者の少数の人々によって選出されています。
よって、日本は民主主義国家とは言えません>。
日経新聞朝刊(5/25)掲載記事のPDFも置かれており、升永弁護士は次のように語っている。
<自分の選挙権が一票ではなく、〇・八票とか〇・五票の価値しかないと知った多くの国民が、それを是認する裁判官を信任するとは思えない>。
「一票の格差を考える会」の「一票の格差の増大」というページによると、2007年現在で、衆議院議員選挙区における一票の格差が2以上の選挙区数は40もあり、<大都市圏を中心に小選挙区での一票の格差は年々、ますます広がってきている傾向が読み取れます>とある。格差の詳細な解説が「全国「一票の格差」一覧表」にある。
高齢化が進む日本では、ただでさえ高齢者に比べて若年者の声が政治に反映されにくい上に、一票の格差によって大都市圏が不利になっているのであれば、大都市圏の若年者というのは2重に不利な状況に置かれていることになる。
国会議員の当落を判定する選挙において、大きな一票の格差があるということは、その選挙は十分にフェアであるとは言えないだろう(「一票の格差」ページによると、日本のように2倍以上の格差がある先進国はあまりないようだ)。その選挙で選ばれた国会議員が国の政治決定権を持つのだから、「日本は民主主義国家ではない」と言っても確かに間違いではないと思う。
いい政治家を育てることも重要だが、この「一票の格差」問題や、合理性を欠いた公職選挙法(なぜ迷惑なだけの選挙カーがOKで、ネットは使えないのか?)など、選挙という政治家の選出プロセスにも注意を払い、声を上げていく必要がありそうだ。
関連:
ウィキペディア - 一票の格差
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80..
ウィキペディア - 最高裁判所裁判官国民審査
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80..
升永英俊ブログ - 「一人一票」を実現しよう!
http://blg.hmasunaga.com/main/
経済同友会 一票の格差是正ウェッブサイト
http://www.doyukai.or.jp/kakusa/
一票の格差を考える会
http://www.ne.jp/asahi/ippyou/kakusa/